夜の寝姿勢が「愛着スタイル」を映し出す?

これまでの心理学研究では、身体的なふれあい(身体的親密性:physical intimacy)は、恋愛関係において信頼や絆を深める重要な要素だとされてきました。
特に、ハグやキス、手をつなぐといったスキンシップは、不安やストレスを和らげ、オキシトシンという「愛情ホルモン」の分泌を促すことが知られています。
一方で、「眠っているときの姿勢」についての研究はあまり進んでいませんでした。
眠っている間の姿勢は、意図して操作しにくく、より無意識な関係性の表れとも考えられるからです。
ノヴァク博士の研究チームは、こうした視点から「就寝時にパートナーとどのような距離で眠るか」が、カップルの愛着スタイルや心理的な安定、さらにはストレスとの関係にどう影響しているのかを調べることにしました。
この研究では、アメリカに住む143組の異性愛カップルを対象とし、平均で13年間以上一緒に暮らしている男女(男性の平均年齢は43歳、女性は40歳)に協力を依頼しました。
調査では、パートナーと就寝時にどれほど身体的に近い距離で眠っているか、普段感じているストレスの度合い、そして「愛着スタイル(attachment style)」と呼ばれる、他者との心理的なつながり方の傾向についてアンケートが行われました。
愛着スタイルとは、心理学における重要な概念で、大きく分けて「安定型」「不安型」「回避型」などがあります。
たとえば、「不安型」の人は相手に見捨てられるのではないかと不安を感じやすく、「回避型」の人はあまり他人と深く関わろうとしない傾向があります。
研究チームは、これらの愛着スタイルと就寝時の身体的近さ、さらにはストレスの自己評価との関連を統計的に分析しました。