脳が発する「光」の検出に初成功!
チームは今回、20人の健康な成人を対象に、特殊な装置を用いた実験を実施しました。
被験者は真っ暗な部屋に座り、頭には脳波計を装着。
その周囲には、光電子増倍管(PMT)と呼ばれる極微弱な光を検出する装置が配置されました。
そして被験者には、目を開ける/閉じる、あるいは音楽(120BPM)を聴くといったシンプルなタスクを行ってもらい、その間のUPEと脳波の変化を同時に測定したのです。

結果は驚くべきものでした。
まず、脳からのUPEは背景光(周囲の空気中のノイズ)とは明確に異なる変動パターンを持つことが判明したのです。
とくに後頭部(視覚野)と側頭部(聴覚野)から検出された光は、安静時でも一定のリズムと変動性を示し、他の部位とは異なるスペクトル的特徴を持っていました。
さらに目を閉じたときに増える「アルファ波」と呼ばれる脳波の活動と、UPEの強さが同期していることも発見されました。
これはつまり、脳の電気的な信号(脳波)と、化学的な代謝反応(UPE)が連動していることを意味します。
この成果は、従来のfMRIやPETスキャンのような「重装備で高コスト」な装置を使わずとも、非侵襲・低刺激で脳機能の状態を“光”から読み取る可能性を示すものです。
研究者たちはこの新しい手法を「光脳波記録(photoencephalography)」と名付けました。
将来的には、この技術がうつ病やてんかん、認知症などの診断や、注意力や感情状態のリアルタイム把握にも応用される可能性があります。
私たちはこれまで、脳の活動を「電気信号」や「血流変化」から読み解いてきました。
しかし今回の研究は、それに加えて「光」というまったく新しい次元の情報を使えるかもしれないことを示しました。
もちろん、まだ課題は多く残されています。
検出できる光は非常に弱く、ノイズとの区別や個人差の評価も必要です。
しかし、もしこの“脳の光”がより正確に読み取れるようになれば、私たちは未来において、頭の中の思考や感情、健康状態を「発光のリズム」から知ることができるようになるかもしれません。
代謝止まると発光止まるのなら死の判定にも使えますね。
生きてるときの発光パターンと死んで腐敗するときの発光パターンは違うでしょうし。
食品の加工にも使えるかも、発酵食品とかの発酵の状態を発光から調べたりとか。