暑熱下での「運動中のカフェイン摂取」はパフォーマンスを向上させる

実験の結果、カフェイン摂取群では、血中カフェイン濃度が緩やかに上昇し、最終的に高強度運動の継続時間がプラセボ群より平均で53秒延長しました。
また、中強度運動終了時に記録された「主観的なきつさ」も、カフェイン群の方が明らかに低く、身体的な負荷をより軽く感じていたことが示されました。
さらに、深部体温、換気量、脳血流量といった生理学的指標には、カフェイン摂取による有意な増加は見られませんでした。
これはつまり、暑熱下でカフェインを「運動中に」摂取した場合、生理的ストレスを増大させることなく、運動能力を向上させたことを意味します。
なぜこのような好結果が得られたのでしょうか。
研究チームは、従来よりも摂取タイミングを遅らせることで血中カフェイン濃度が徐々に徐々に上昇し、生理応答が過度に刺激されなかったことが要因と考えています。

とはいえ、今回の研究にも限界があります。
被験者は若年で健康な成人に限られており、中高年や心疾患を持つ人に対しても同様の効果が得られるかは検証が必要です。
またカフェインによってパフォーマンスが向上した場合、結果的に仕事量も増加するため、運動終了時の負荷が増大するリスクに留意する必要があります。
それでも、この研究は暑い季節における運動時のカフェイン摂取に関する新たな指針を提供するものとして、重要な意義を持ちます。
今後は摂取タイミングの個別最適化や、習慣的カフェイン摂取者との比較など、より現実的な条件での応用研究が期待されます。
この夏、パフォーマンスを最大にしたいなら、カフェイン摂取の“タイミング”にもこだわってみてはいかがでしょうか?
カフェインなんか取ったら吐いちゃいます。