画像
ほうれん草などの緑の葉物野菜を食べると心臓病による死亡リスクが大幅に低減する可能性 / Credit:Canva
health

毎日「緑の葉物野菜」1カップの摂取が心臓病死亡リスクを劇的に下げる

2025.07.02 06:30:42 Wednesday

健康を意識してホウレンソウやブロッコリーなどの緑の葉物野菜を意識的に食べている人は少なくないでしょう。

とはいえ、どれほどの効果があるのか、毎日続ける意味があるのか疑問に思っている方もいるかもしれません。

そんな中、オーストラリアのエディス・コーワン大学(ECU)の研究チームが「緑の野菜を毎日1カップ食べる」ことで、心臓病による死亡リスクを大幅に減らす可能性があることを明らかにしました。

この研究成果は、2025年5月3日付の『European Journal of Nutrition』誌に掲載されました。

An extra cup of leafy greens each day reduces heart disease death risk https://newatlas.com/health-wellbeing/vitamin-k1-daily-cardiovascular-disease-risk/ Leafy greens could be good for the heart https://www.ecu.edu.au/newsroom/articles/research/leafy-greens-could-be-good-for-the-heart
Higher vitamin K1 intakes are associated with lower subclinical atherosclerosis and lower risk for atherosclerotic vascular disease-related outcomes in older women https://doi.org/10.1007/s00394-025-03686-x

多くの人の命を奪ってきた「アテローム性動脈硬化症」――予防のカギはビタミンK1?

世界中で最も多くの命を奪っている病気、それが心血管疾患(CVD)です。

中でも、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「アテローム性動脈硬化症(ASVD)」は、先進国において最も多い死因の1つとして知られています。

画像
アテローム性動脈硬化症(ASVD)では、血管の内側にプラークが沈着し、血流が妨げられる / Credit:Canva

この疾患は、動脈の内側に脂質やカルシウムが沈着してできる「プラーク」が蓄積し、血管が狭くなって血流が妨げられることで生じます。

そしてASVDの危険性は、年齢や生活習慣、性別によっても大きく変化します。

特に高齢女性は、閉経によって心臓を保護する女性ホルモンの分泌が減少するため、ASVDのリスクが一気に高まります。

では、ASVDを予防する方法はあるのでしょうか。

近年では、ビタミンK1の摂取が注目されています。

ビタミンK1は、ホウレンソウやケール、ブロッコリーなどの緑の野菜に豊富に含まれ、体内では血液の凝固に加え、血管の石灰化(カルシウムの沈着)を防ぐ働きがあると考えられています。

このメカニズムには、ビタミンK依存性タンパク質が関与しており、これがビタミンKの摂取によって活性化されることで血管内にカルシウムが蓄積するのを防ぎます。

画像
緑の葉物野菜に多く含まれるビタミンK1がASVDの予防に役立つかも / Credit:Canva

そこで研究チームは「食生活、特にビタミンK1の摂取が高齢女性のASVDの発症や進行にどう影響するのか」を検討するため、長期にわたる観察研究を実施しました。

研究では、平均75歳のオーストラリア人女性1436人を対象としました。

彼女たちの食生活は、信頼性の高い食物摂取頻度質問票(FFQ)によって詳細に記録され、1日あたりのビタミンK1摂取量が算出されました。

そして約14.5年間にわたり、頸動脈の厚さ(動脈硬化の進行指標)や、心筋梗塞・脳卒中などの重大な心血管イベント、さらにはASVDによる入院・死亡リスクなどを、西オーストラリア州の医療記録と死亡記録を用いて追跡しました。

では、ビタミンKの摂取とASVDにはどんな関係があったでしょうか。

次ページビタミンK1を十分に摂取している高齢女性はASVDの死亡率が43%も低かった

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

健康のニュースhealth news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!