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上海で街区ごと一時的に移転させるプロジェクトが完了 / Credit:Shanghai Municipal People’s Government
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【上海の歩く街区】432台のロボットが”街区ごと”一時的に移転させる (2/2)

2025.07.02 11:30:40 Wednesday

前ページ歴史か、未来か――都市開発のジレンマに大胆な解決策

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432台のロボットが街区ごと“歩かせる”ことに成功

このプロジェクトは2023年後半に始まっており、既に華厳里を西に約48m、北に約46m移動させています。

そして2025年5月19日、華厳里を元に戻すプロジェクトが始まりました。

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数百台のロボットにより街区ごと移動させることに成功 / Credit:Shanghai Municipal People’s Government

総面積4030平方メートル、重さ7500トンにも及ぶ3棟の建物はそれぞれ、432台のクローラー式移動ロボットによって持ち上げられ、移動を開始しました。

これらのロボットはジャッキアップ機能と方向制御を備えており、建物を傷つけることなく、1日あたり平均10メートルのペースで“歩かせる”ように移動させていきます。

移動ルートの設計には、3Dスキャン技術とBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が活用され、地中構造物との干渉を徹底的に回避。

また、自動で動く掘削ロボットやベルトコンベアなどが使われ、全体としてはまるで“動く工場”のような姿になっています。

これらのロボットはおよそ3週間かけて華厳里を元の位置に戻す作業を続けました。

そして2025年6月7日、ついに華厳里は元の位置に戻り、プロジェクトは見事に完了しました。

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歴史的な街区を保護しつつ、都市開発の実施に成功 / Credit:Shanghai Municipal People’s Government

このプロジェクトのメリットは明らかです。

歴史的建築を一切壊すことなく地下の再開発が可能となり、都市の景観や文化的アイデンティティが保持できるのです。

一方で、懸念点がないわけではありません。

大規模なロボットシステムの運用にはコストもかかり、失敗すれば文化財の損壊にもつながりかねません。

また、すべての都市がこのような高度な技術を運用できるわけではなく、導入には慎重な検討が求められます。

それでも、「街全体が歩く」というこの大胆なアイデアが実現されたことで、これからの都市再開発における「破壊せずに創る」という選択肢が現実のものとして示されました。

まさに「歩く歴史」といえる出来事が上海で起きたのです。

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【上海の歩く街区】432台のロボットが”街区ごと”一時的に移転させる (2/2)のコメント

ゲスト

すげー
けどこの建物の基礎どうなってて
歩かせるための機械はどうやって突っ込んだのか気になる

ゲスト

スライドさせて柄を合わせていくパズルを街の区画でやってしまったと…。
これ書いてる同人小説で使わせてもらおう。
街の区画丸ごと動かすのね。

    ゲスト

    できたら教えてくださいな

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