誰も見てないうちにこっそり雨を楽しむ
ガニエカとヤキニ、そしてもう1頭のモタバは、同動物園の「独身グループ」として暮らしています。
いずれは別の動物園へ移動し、繁殖のために「お見合い」することが予定されています。
野生では、若いシルバーバック(成長したオスゴリラ)が家族群を率いるために、他のオスと争う必要がありますが、動物園ではその代わりに「マッチング」が行われます。
このとき使われるのが、ゴリラ用の「プロフィール」。
遺伝情報を記録して近親交配を避けるのはもちろんですが、近年では「性格」や「行動傾向」も選考材料になります。
飼育員のローラ・ヒクルトン氏によれば、「遺伝子が理想的でも、性格の不一致でうまくいかないこともある」とのこと。
「お見合い」がうまくいくかどうかは、やはりフィーリングも大切というわけです。

ガニエカは、弟気質でいたずら好きな性格。
兄ヤキニを起こして困らせたり、構造物をドンドン叩いて反応をうかがったり、まるでわんぱくな少年のようです。
それでいて、甘えん坊で繊細、好奇心旺盛な一面もあり、飼育員たちは「ガニエカにいつも翻弄されている」と語ります。
ちなみに、ガニエカは自分の雨好きな性格をやや恥ずかしがっているようで、「誰も見ていない」と思ったときだけ雨遊びをします。
でも、動物園には監視カメラがあることを、彼は知らないのかもしれません。
あ
私たちはしばしば「○○はこういう動物」という固定観念にとらわれがちです。
しかし今回のガニエカの雨遊び動画が示しているのは、「同じ種でも、好みはさまざま」だというシンプルな事実です。
人間と同じように、ゴリラにも個性があります。
雨が嫌いな子もいれば、ガニエカのように雨を愛する子もいるのです。
ガニエカのような存在は、種の多様性を理解する上でもとても重要です。
今後、動物園では「性格」や「好み」も大切にされる時代になるのかもしれません。