「ナマケモノはオナラしない」通説の背景とは?
ナマケモノは中南米の森に生息する樹上性の哺乳類です。
彼らは1日の大半を木の上でじっと過ごし、活発に動くことなく、食事も近くの葉っぱに頼っています。
そして専門家たちは「ナマケモノのゆっくりとした消化システムと生活スタイルから、体内で発生するガス量もきわめて少なく、それらは腸から吸収され、血流にのって口から呼気として排出されているのだろう」と考えていたのです。
2017年には、動物のオナラに関する科学的知識をまとめた書籍『Does it Fart?: The Definitive Field Guide to Animal Flatulence(=それってオナラするの?動物の屁のフィールドガイド決定版)』が話題となり、その中でナマケモノは“唯一オナラをしない哺乳類”として紹介されました。
この説は一部の動物学者たちの間でも支持されており、“静かなる消化”を象徴するような存在として、ナマケモノは語られてきたのです。

しかし、そうした理解に違和感を覚える専門家もいました。
「腸内ガスを再吸収して呼吸で出すなんて、ちょっと苦しそうだし効率も悪い。
そこまでして、ナマケモノがオナラを我慢する理由はないんじゃないかと思っていました」と語るのは、野生動物の専門家ルーシー・クックさんです。
そしてその直感は、ある驚くべき映像によって裏付けられることになります。