画像
500年ぶりにポルトガルにビーバーが戻ってくる / Credit:Canva
animals plants

500年の「空白の期間」を経てポルトガルに”帰ってきたビーバー”とは?

2025.07.21 11:30:15 Monday

ヨーロッパビーバーは、かつてはヨーロッパ各地の川辺に普通に暮らしていた生物です。

しかし15世紀の終わりを境に、ポルトガル国内からその姿は一切見られなくなっていました。

そして現代、私たちは信じがたいニュースを耳にすることになります。

2025年、環境保護団体「Rewilding Portugal(リワイルディング・ポルトガル)」が、ポルトガル領内でヨーロッパビーバー(学名:Castor fibre)の存在を確認したと発表しました。

スペインとの国境地帯に設置された自動カメラが、若い成獣とみられる個体をとらえたことで、500年の空白がついに埋められました。

More than 500 years later, the Beaver is back in Portugal https://rewilding-portugal.com/news/more-than-500-years-later-the-beaver-is-back-in-portugal/

生態系エンジニア「ビーバー」ってどんな動物? ポルトガルでは500年前に絶滅

画像
ポルトガルでは絶滅していたヨーロッパビーバー / Credit:Canva

ヨーロッパビーバーは、体長約80〜100cm、体重11〜30kgほどの大型齧歯類(げっしるい)で、川や湖の近くに生息します。

広い平たい尾とかきを持つ後ろ足を活かし、水辺の生活に特化した体を持っています。

生態的には夜行性で、主に植物の葉や樹皮を食べ、縄張り内にダムや巣(ロッジ)を作るという独自の行動で知られています。

この行動が、彼らを単なる動物以上の存在にしています。

実はビーバーは、自然界における”生態系エンジニア”と呼ばれるほど、環境に対する影響が大きいのです。

画像
ビーバーは生態系エンジニア / Credit:Rewilding Portugal

彼らが作るダムは、川の流れをせき止めて小さな湿地や池を形成します。

これにより、周囲には水を好む植物が生え、両生類や魚類、昆虫、鳥類、そして他の哺乳類たちが集まりやすくなります。

ビーバーが暮らすことで、周辺の生物多様性は一気に豊かになるのです。

また、こうした湿地は水を貯え、土壌の湿潤を保ち、地下水の補給にも貢献します。

干ばつや山火事が深刻な問題となる南ヨーロッパにおいて、ビーバーの存在は気候変動に対する自然の盾ともなり得るのです。

しかし、ポルトガルでは15世紀末を最後にビーバーの記録は絶たれました。

乱獲、毛皮・肉・薬用としての利用、そして川辺の開発が彼らを追いやったと考えられています。

以来、ポルトガルの川にはビーバーがいない状態が続き、生態系の一部が欠けたままとなっていました。

ところが最近、500年の空白を埋めるニュースが飛び込んできました。

次ページポルトガルで500年ぶりにビーバーが復活!今後の対策とは?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!