世界の移植医療を変えるリアップ法、そのインパクトと未来予測

今回の研究によって、「心臓を再び動かすことなく、停止した状態のまま新鮮に保存する方法が実現可能である」ということが示されました。
これは単に科学的な成功だけでなく、心臓移植をめぐる倫理的な壁を乗り越える可能性を持っています。
心臓移植と聞くと、多くの人は漠然とした不安や心理的抵抗感を覚えます。
特に、これまで主流だった脳死ドナーからの移植では、「まだ動いている心臓を取り出す」というイメージが、どうしても拭えなかったからです。
また体内常温灌流法(NRP)では体内で再び動き出した心臓や脳への血流を防ぎ脳の復活を阻止するなど、倫理的に厳しいと判断される手段がとられていました。
しかしREUP法では、ドナーの心臓を再び動かすことなく「止まったままの状態」で鮮度を保つという全く新しい方法を採用しました。
これにより倫理的負担が大きく軽減され、しかも心臓の長期保存が実現しました。
また、この方法のもう一つの大きなメリットが経済的な負担の軽減です。
従来の体外保存法では、高額で複雑な専用装置が必要であり、実施できる病院や地域が限られていました。
REUP法は専用の高価な装置を使わずに、比較的安価でシンプルな設備を用いて心臓を保存することが可能です。
これは特に発展途上国や資金面・人手面に制約がある施設にとっても、心臓移植を実施する道を開くものとなります。
このように倫理的・経済的な障壁が下がることで、心臓移植の提供数が大幅に増えると期待されます。
ヴァンダービルト大学が実際に、この保存技術によって数年で数百件規模の新しい移植のチャンスを作り出していることが、それを裏付けています。
また、REUP法の技術は心臓だけに限らず、他の臓器への応用可能性も秘めています。
特に腎臓や肝臓、肺など、心臓と同じく循環停止後に急激に機能が低下する臓器にも、この技術を応用できる可能性があります。
今後の研究が進めば、REUP法を使った保存技術によって、これまで以上に多くの臓器が移植可能となり、多くの命を救える可能性が広がります。
さらに、この技術の小児への応用も期待されています。
子どもにとって適した臓器を得るのはさらに難しく、提供可能な臓器が増えれば救える子どもたちも増えるでしょう。
移植医療の未来を考えると、この「再起動しない超酸素保存」という新しい考え方は、今後の医療のあり方そのものを大きく変える可能性があると言えるでしょう。
ミノキシジルが強く作用するあれですよね。