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人間の老化は50歳前後から急激に加速する (2/2)

2025.08.03 12:00:21 Sunday

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老化は50歳前後で加速する!内臓に起こる変化

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中国科学院の研究チームが行った解析の結果、驚くべきパターンが浮かび上がりました。それは、多くの臓器において、50歳前後を境にタンパク質の変化が一気に加速するというものです。

具体的には、臓器に含まれる老化関連タンパク質の量や種類が、それ以前には緩やかに変化していたのに対し、50歳前後を転換点として急激に変化し始めることがわかりました。

つまり、身体の中では50歳前後を“転換点”として、老化のペースが新たな段階に入る可能性があるのです。

しかも、老化のスピードは臓器によって異なります。今回の研究で特に変化が顕著だったのが、大動脈や血管系でした。

血管は年齢とともに硬くなり、柔軟性が失われていきますが、その変化は自覚しにくいものです。しかし血管の老化は、心臓病や脳卒中といった重大な疾患のリスクにもつながります。

この結果は、「見た目や体感では元気に見えても、血管はすでに老化を始めている」ということを意味している可能性があります。

さらに注目されたのが、GAS6(ガスシックス)というタンパク質です。この物質は血液中に存在し、細胞の生存や炎症、老化と関係していることが知られています。

GAS6を若いマウスに投与する実験では、握力が低下したり、バランスが悪くなったりと、老化に似た症状が現れたといいます。このことから、GAS6は単なる“老化の指標”ではなく、老化を引き起こす引き金のひとつかもしれないと考えられています。

今回の研究では、このGAS6の量が50歳前後を境に急激に増加することが、大動脈や血漿(けっしょう:血液の液体部分)のサンプルから確認されました。この指標も老化が50歳前後で急激に進行する可能性を示唆しています。

この研究からわかってきたのは、老化がただ静かに進むのではなく、50歳前後を境に急にスピードアップする可能性があるという事実です。

そのため、「まだ調子が良い今」のうちに、50歳前後の転換期を意識して生活習慣を見直すことが、将来の健康を守る第一歩となるでしょう。

この視点に立つと、「老いを感じてから対処する」のでは遅いかもしれません。むしろ、「まだ調子が良い今このときに、内側の変化を意識して対策を始める」ことが、将来の健康を守るうえで重要だといえます。

また「臓器によって老化の進み方が違う」という点も重要です。たとえば、大腸や肝臓の老化は比較的遅く始まるかもしれませんが、血管や消化器系の一部はより早く影響を受けることがわかっています。これは、健康管理において“年齢に合わせた対策”が必要であることを意味しています。

今後の課題としては、この研究が横断的(ある時点での比較)に行われたものであり、個人の老化がどのように進むかを追跡したものではない点が挙げられます。また、研究対象は76人とやや少なめで、事故死や病死など死亡時の健康状態もバラバラなため、今後はより大規模かつ長期的な研究が求められます。

それでも、この研究が私たちに与えてくれるメッセージは明確です。「まだ大丈夫」と感じている今こそ、老化に備えるタイミングかもしれないということです。

食生活や運動習慣を見直したり、定期的な血管年齢チェックを受けたりと、加齢に応じて健康に気を遣うタイミングを測りかねている人は50歳前後を目安に考えておくと良いかもしれません。

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人間の老化は50歳前後から急激に加速する (2/2)のコメント

ゲスト

調べる対象によってバラバラなのがまた憎いですね。
それぞれの年齢で時期をずらして変わっていくということなのでしょうし。
しかしながらそういう老化を経験しても90だの100だの生きて、わりと健康なまま死んでいく人も意外といるわけで、人間不思議だらけです。

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