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Credit: canva
health

なぜストレスで「腸の痛み」が悪化する?仕組みを解明

2025.10.30 07:00:37 Thursday

ストレスを感じたときに「お腹が痛くなる」現象は、多くの人が日常的に経験しています。

ストレスがどのように腸に影響を及ぼし、痛みを引き起こすのか。

そのメカニズムの一端が、兵庫医科大学の最新研究により明らかになりました。

研究の詳細は2025年10月7日付で科学雑誌『Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology』に掲載されています。

ストレスが腸の痛みを悪化させる仕組みを解明 ―交感神経の過剰な働きが好酸球を集め、内臓痛を引き起こすー(PDF) https://www.hyo-med.ac.jp/files/20251027/807f0957fc29d977ad9aecb53b15cceda9ef8638.pdf
Sympathetic Overactivation Drives Colonic Eosinophil Infiltration Linked to Visceral Hypersensitivity in Irritable Bowel Syndrome https://doi.org/10.1016/j.jcmgh.2025.101658

ストレスが腸を攻撃する仕組みとは?

私たちの腸は、日々さまざまな刺激やストレスにさらされています。

特に「過敏性腸症候群(IBS)」は、世界人口の約15%が悩んでいるとされる疾患で、強い腹痛や下痢・便秘などの症状を繰り返すのが特徴です。

しかし、これまでストレスと腸の痛みをつなぐ“直接的な回路”は長らく謎に包まれていました。

今回、兵庫医科大学の研究チームは、「幼少期に強いストレスを受けた動物モデル」を使い、ストレスが腸に及ぼす影響を詳細に調べました。

その結果、ストレスを受けると「交感神経」(緊張やストレス時に活発になる自律神経の一種)が活性化し、腸の粘膜に「好酸球」と呼ばれる免疫細胞が集まることが分かったのです。

好酸球は本来、寄生虫などに対抗するために働く免疫細胞ですが、腸に過剰に集まると“軽度の炎症”を引き起こし、神経を刺激します。

この炎症と神経刺激の結果、腸の「痛み」や「不快感」が引き起こされるのです。

さらに研究では、「エオタキシン-1」という化学物質が重要な役割を担っていることも突き止めました。

ストレスによって交感神経が活性化されると、腸の間葉系細胞からエオタキシン-1が分泌され、それが好酸球を呼び寄せる“招待状”となります。

こうして腸の中で免疫細胞が集まり、炎症が進み、痛みや不快感が増してしまうという“悪循環”が生まれるのです。

次ページストレス対策が“お腹の健康”につながる時代へ

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