口の中の細菌が炎症を抑える?
研究チームはさらに詳しく調べました。
すると、芳香族化合物によって増えた口腔内細菌、特にストレプトコッカス(Streptococcus)という菌が腸の免疫システムに作用していることが分かったのです。
実験で、このストレプトコッカスを潰瘍性大腸炎のモデルマウスに投与すると、マウスの腸では「Th1細胞」と呼ばれる免疫細胞が増えました。
Th1細胞は炎症を引き起こす免疫細胞の一種ですが、同時に潰瘍性大腸炎の原因とされる「Th2型免疫応答」を抑える働きがあります。
つまり、喫煙によって腸に持ち込まれた口腔内細菌が、免疫のバランスを調整し、過剰な炎症を和らげていたのです。
結果として、大腸の炎症が抑えられ、潰瘍性大腸炎の症状が軽くなるという仕組みが解明されました。

もちろん、タバコそのものが体に良いわけではありません。
肺や心臓にとって喫煙は大きな害であり、むしろ潰瘍性大腸炎以外の多くの病気のリスクを高めます。
今回の発見が意味するのは「タバコを吸った方が良い」ということではなく、「タバコに含まれる物質や細菌の変化をヒントに、新しい治療法を開発できるかもしれない」という点にあります。
例えば、タバコの煙に含まれる有害物質を使わずに、腸内細菌や代謝産物を調整する方法が開発されれば、禁煙後に症状が悪化する患者を助けられる可能性があります。
さらに、この知見は潰瘍性大腸炎だけでなく、他の腸の病気や免疫系の病気にも応用できるかもしれません。
潰瘍性大腸炎が発症してから煙草吸い始めて、かなり軽減したんだけど
そんな効果があったんだな〜