通勤時間が長い日本と韓国
ストレスや体調不良の原因として、よく「労働時間が長すぎる」ことが挙げられますが、実は「通勤時間が長すぎる」状況も侮ってはいけません。
通勤時間が長いと睡眠時間が削られることが多いからです。
また多くのケースで通勤中は座ったままであり、それが運動不足や肥満に繋がります。
混んでいて座れないから立ったままの通勤が運動になっている、という考え方もあるかもしれませんが、毎日満員電車で通勤している人は、より強いストレスを経験しているはずです。
通勤の手段や状況は様々ですが、総合的に見て、「通勤時間は短い方が良い」というのが多くの人の意見でしょう。
しかし、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」によると、日本の1日の平均通勤・通学時間は、1時間19分にもなります。
なんと平均であっても片道40分も通勤や通学に費やしているのです。
当然、これは単純計算で1週間に6時間40分も通勤に費やしていることになり、これはほぼ丸一日追加で働いているのとかわりません。
ちなみに、日本で最も通勤・通学時間が長い都道府県は神奈川県(1時間40分)であり、2位は千葉県と東京都(1時間35分)でした。
最下位は山形県と宮崎県ですが、それでも56分を通勤・通学に費やしています。
これでは、多くの人が「毎日が短い睡眠と長い通勤・仕事の繰り返しで疲れ果てている」のも不思議ではないですね。
そして、お隣の韓国もまた、通勤時間が長い国として有名です。
イ・ドンウク氏ら研究チームによると、韓国はOECD(国際経済全般について協議することを目的とした国際機関)加盟国の中で、最も平均通勤時間が長く、抑うつ症状を経験する人の割合が多いようです。
しかし、これまでアジア人を対象とした「長時間通勤が健康に与える影響」を調べた研究はほとんどありません。
そこで今回、イ・ドンウク氏ら研究チームは、韓国における平均通勤時間とメンタルヘルスの関係を調査・分析することにしました。