高まる「AAAタイトルへの期待」と開発費、そしてゲーム価格
ゲーム価格の上昇が始まったのは今に始まったことではありません。
しかし、特にここ数年、その傾向は加速しています。
では、なぜゲームがここまで高騰するに至ったのでしょうか?
背景として注目すべきは、まず「AAA(トリプルエー)タイトル」の開発費の増大です。
AAAとは、ゲーム業界で“最も予算がかかる大作ゲーム”を指す俗称で、映画で言うところの超大作にあたります。
ハリウッド映画のように大手企業が莫大な資金と人員を投入して制作され、数百人規模のチームで数年かけて開発されることが一般的です。
例えば、『コール オブ デューティシリーズ』『Minecraft』『DEATH STRANDING』などがAAAタイトルに含まれます。
また、2025年にリリースされた『マリオカート ワールド』もAAAタイトルの一つとされ、80ドルという価格(日本での希望小売価格:ダウンロード版8,980円、パッケージ版版9,980円で販売されました。
かつて標準だった60ドルと比較して約33%の値上がりに相当し、多くのファンに衝撃を与えました。
De Schutter教授は、「今のAAAゲームは開発チームの力を限界まで引き出して、できる限りリアルで没入感のある体験を作り上げようとしている」と述べています。
このような状況では、“差別化”が命題となり、より多くの資金が投入されるようになります。
膨張した開発費を回収するために、本数を売るだけでなく、ゲーム内課金などの追加的な収益モデルも不可欠になっているのです。
さらに、COVID-19パンデミック中に起きたゲーム業界への一時的な投資ブームが落ち着いたことも重要な要因です。
パンデミック中、多くの人々が自宅での娯楽としてゲームに目を向け、大きな資金が業界に流れ込みました。
しかし、実際の収益成長は期待ほどではなく、その反動で投資家が慎重になり、資金の流入が鈍化しました。
De Schutter教授は、「このままでは持続可能ではない」と警鐘を鳴らしています。