どこまで言える?伸びの意味

今回の研究は、「哲学で論理力が伸びる」という主張に対し、これまでで最も強力な裏付けを与えるものです。
長年「哲学をやると頭が良くなる」と言われつつも決め手に欠けていた議論に、大規模データと綿密な分析で答えを提示しました。
その意味で本研究は、哲学の教育的価値を再評価する転機となるかもしれません。
あえて言うなら、哲学は「言葉と論理、思考習慣を鍛える『頭のトレーニング』」なのかもしれません。
それは知識の暗記ではなく、言葉と論理を使って考え抜く反復練習だからです。
前提を疑い、反論に耐える議論を組み立て、概念を精密に定義し、結論がどこまで妥当か突き詰める——哲学の授業で日々行われるこうした知的エクササイズが、まさに思考力という“筋肉”を鍛えているのでしょう。
今回の研究結果は、この「哲学の思考トレーニング効果」をデータで裏付けた形です。
もちろん、哲学を学べば誰でも魔法のように突然賢くなれるわけではありません。
基礎的な学力や資質がある程度重要なのは事実です。
それでも本研究が示したように、入学時点の能力差だけでは説明できない伸びが哲学専攻の学生に見られたことは注目すべき発見です。
特に重要なのは、4年間の大学教育で付いた差が確認された点であり、「大学で何を学ぶか」が人の思考力に与えるインパクトを雄弁に物語っています。
実際、「もともとどれだけ頭が良いか」だけでなく、「大学で何を学んだか」も人の成長に関わることが示唆されたのです。
現代はAIが台頭し、大学教育の価値が見直される時代ですが、こうした中で従来「役に立たない」と揶揄されがちだった哲学の価値が今回の成果によって見直されるかもしれません。
人間にしかできないクリティカルシンキング(批判的思考)の重要性が増す今、哲学を通じて培われる言語力・論理力や知的な柔軟性は、まさにAI時代に求められる「人間ならではの力」と言えるでしょう。
さらに今回の知見は、教育の在り方や進路選択にも示唆を与えそうです。
近年、実学志向やSTEM(科学・技術・工学・数学)偏重の風潮の中で、哲学をはじめ純粋な人文学の価値が見過ごされがちでした。
しかし哲学科の学生が培う思考スキルは、他分野の学生を凌ぐほど強力だという結果は、大学教育で何を重視すべきかを問い直す材料となります。
研究の著者らも、哲学教育の効果を今回確認したことで「教育の本来の目的」に立ち返る議論に繋げたいと述べています。
個人のキャリアにおいても、「就職に直接役立つスキル」だけでなく生涯にわたって自分の頭で考える力が重要であることを、本研究はデータで示していると言えるでしょう。
高校生・大学生のみなさんも、進路を選ぶ際には「自分の頭を鍛える学び」という観点で哲学に目を向けてみると、新たな可能性が開けてくるかもしれません。
Journal of the American Philosophical Associationじゃないジャーナルに投稿したほうが
この論文により説得力を持たせることができたのにね。
義務教育や初等教育に組み込めば20年ではっきり分かるくらいデータ取れるのに…。
AIに哲学仕込むのも楽しそうではありますよね。
とても有益な研究だと思います
さらに研究が進み、さらに具体的な賢さの秘訣なのか解き明かされるといいですね
何にせよ勉強することで頭が良くなると思います
哲学はとっかかりが難解にみえるので好奇心の多い人が取り組むのかも
それを証明することで何が得られるのかはよく分かりませんが
あ ナゾロジーさんへの問いかけてす