サルも“やめられない止まらない”画面の魔力と依存の正体
2カ月にわたる実験の結果、10頭のコモンマーモセットのうち8頭が「画面をタッチする行動」を自発的に覚えました。
サルたちは毎回、ケージにiPadが設置されると、迷うことなく画面の動画をタップし始め、タッチによる映像の拡大とサルの鳴き声が流れると、さらに何度も指を伸ばすようになったのです。
面白いことに、どの動画を選ぶかには個体ごとのクセが見られ、お気に入りの映像に集中して何度もタッチするサルもいました。
研究では、さらに興味深い実験も行っており、画面をタッチすると単に画面が真っ黒になるだけというバージョンも試されました。すると、一部のサルでは画面タッチの回数が大きく減りましたが、なんと一部のサルでは黒画面への変化だけでも、なお画面タッチが続いたのです。
つまり、なにか面白いものが見られるという結果が伴わなくとも(たとえ黒画面になるだけでも)、目の前で画面が変化すること自体が彼らの行動を後押ししていたといえます。
この結果は、人間の“スマホ中毒”の根底に何があるのかを説明するかもしれません。
私たちも新しい情報の追加や通知があったわけでもないのに、ただ意味もなく何度もスマホの画面をチェックして、延々と操作を繰り返してしまうことがあります。
研究者は、サルの行動が「オペラント行動(operant behavior)」、つまり自分の行動によって世界が変化することを学び、行動を繰り返す現象として成立していることを指摘しています。
今回の実験では、食べ物や水という物質的な報酬がなくても、「画面の変化」や「音」といった感覚的な刺激だけで行動が維持・強化されることが示されました。
しかも一部のサルでは、ご褒美の刺激さえ消えても、何かしらの変化が起こること自体がやめられない原因となっていたのです。
これは、スマホやタブレットに熱中する人間の行動とも重なります。
新しい通知や画面の更新が起こるたびに、脳はちょっとした変化を強く求めるようになります。そうして、報酬がなくてもつい画面を見続ける「依存」のような行動が生まれるのです。
今回の成果は、単にサルの学習能力を示しただけでなく、感覚刺激だけで依存的な行動が形成されうるという重要な手がかりとなりました。
今後は、なぜ一部の個体が変化そのものにやみつきになってしまうのか、その脳のしくみや神経回路の解明が進むことが期待されています。
この研究は、人間社会で急増している「デジタル依存」や「スマホ中毒」のメカニズムを、科学的に解き明かす大きな一歩になるかもしれません。
画面変化だけでも欲求不満を解消できてしまうと。
アニメーション切るとかアニメーションの種類変えてみるとかするとどうなるのかも調べると面白いかもですね。
熊に襲撃されて困っている自治体はこれを応用して熊の生活リズムを破壊してしまうのもありなのでは?
寝食忘れて依存するレベルまで行けるのならこれで熊を駆除できてしまいますし。
これで蚊とかも依存症にできないかな…。