実際の楽器で「恐竜の声」を聴いてみよう!
恐竜楽器の進化はここで止まりませんでした。
2021年、ブラウン氏はカナダ・アルバータ大学のデザイン学者と協力し、より精巧な「大人のコリトサウルス頭部」の楽器レプリカを作り上げます。
最新のCTスキャンと3Dモデリング技術をフル活用し、より実物に近い形状や気道の複雑な構造を再現しました。
コロナ禍をきっかけに、「直接息を吹き込まずに音を出す」新しい発想も生まれました。
楽器には振動センサーやカメラを内蔵し、口の動きや息の振動を電気信号に変換し、それをスピーカーから恐竜頭部の内部に送ることで音が鳴る仕組みが実現。
ギターのピックアップのようなシステムで、手を触れずに恐竜の声を“演奏”できる体験型楽器へと進化したのです。
さらに「声帯ボックス」というデジタル音源装置も搭載し、恐竜の発声器官を模したさまざまなサウンドモデルを切り替え可能に。
最新の研究によれば、一部の恐竜は鳥に近い「シリンックス(鳴管)」という発声器官を持っていた可能性もあり、現代の鳥のさえずりのような声も再現できます。
実際の映像がこちらです。
※ 音量に注意してご視聴ください。
この「ダイナソー・クワイア」は2024年の世界楽器コンテストで3位を獲得。
オーストラリアの音楽カンファレンスでも来場者の注目を集め、演奏体験を楽しむ人が続出しました。
今後は「ノドサウルス」というさらに古い恐竜にも挑戦予定で、これまで以上にバラエティ豊かな“恐竜オーケストラ”が生まれるかもしれません。
ブラウン氏自身も、チューバやサクソフォン奏者とコラボして、現代楽器との“共演”を楽しんでいるそうです。