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Credit: canva
paleontology

エジプトで8000万年前の「新種ワニの化石」を発見

2025.10.29 07:00:43 Wednesday

乾燥した赤い砂漠と緑色の頁岩が広がるエジプト西部砂漠。

その静寂の大地で、科学者たちは現代のワニとは異なる未知の古代ワニの化石を掘り出しました。

この発見は、私たちが「ワニ」と聞いて思い浮かべる姿とは大きく異なる生き物が、太古のエジプトで海を泳ぎ回っていたという驚きの証拠を突きつけています。

今回の研究は、エジプト・マンスーラ大学(Mansoura University)によって主導されました。

新たに見つかった新種の古代ワニは「ワディスクス・カッサビ(Wadisuchus kassabi)」と命名され、地球の歴史と爬虫類の進化に新たな一ページを刻む発見となっています。

研究の詳細は2025年10月27日付で科学雑誌『Zoological Journal of the Linnean Society』に掲載されました。

Earliest long-snouted fossil crocodile from Egypt reveals the African origins of seagoing crocs https://phys.org/news/2025-10-earliest-snouted-fossil-crocodile-egypt.html
An early dyrosaurid (Wadisuchus kassabi gen. et sp. nov.) from the Campanian of Egypt sheds light on the origin and biogeography of Dyrosauridae https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlaf134

海を泳いだ「新種の古代ワニ」

今回の化石は約8000万年前、まだ恐竜たちが絶滅する前の白亜紀後期にエジプトのオアシス都市・ハルガの近くで生きていた古代ワニのものです。

新たに発見された「ワディスクス・カッサビ」は、これまで知られている中で、最古のディロサウルス科(Dyrosauridae)に属します。

このディロサウルス科は絶滅した古代ワニのグループで、現代のワニとは見た目も暮らしも大きく異なっていました。

最大の特徴は、細長く突き出した鼻先と、針のように鋭い歯。

これらは魚やカメなどの滑りやすい獲物をとらえるのに最適な構造でした。

【新種ワニの復元イメージ画像はこちら

現代のワニが淡水の川や沼地を主な生息地としているのに対し、ディロサウルス科は沿岸や海洋環境で繁栄していたのです。

研究チームはハルガ周辺から、異なる成長段階を示す4体分(部分的な頭骨2点と鼻先2点)の化石を発掘し、CTスキャンや3Dモデルを使って前例のない詳細な骨の構造を明らかにしました。

また、ワディスクス・カッサビは鼻先の前方に4本の歯(原始的なディロサウルス科は5本)を持ち、鼻孔は上部に位置し、水面から呼吸しやすい構造でした。

さらに上顎と下顎の先端が噛み合う部分には深い切れ込みがあり、これが進化の過程で「かみ合わせ」の工夫につながったと考えられます。

次ページディロサウルス科の起源とエジプトの「化石遺産」

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