進化の迷宮、ヘビとトカゲの起源に迫る
ブリュグナサイル・エルゴレンシスの発見が注目される理由は、その特異な姿だけではありません。
この古生物は「有鱗目(トカゲとヘビの総称)」の中でも非常に原始的な存在と見なされています。
古生物学者のロジャー・ベンソン博士(アメリカ自然史博物館)は「ブリュグナサイルは、歯や顎こそヘビ的ですが、それ以外は驚くほど原始的です」と語ります。
【本種の全身と口元の復元イメージがこちら】
つまり、ヘビの祖先像がこれまでの想像と大きく違っていた可能性や、あるいはヘビ的な捕食スタイルが別系統でも独立して進化していた可能性が示唆されているのです。
実際、B.エルゴレンシスが「ヘビの祖先」なのか、それともトカゲやヘビすべての祖先(基幹有鱗類)のひとつなのかは、まだ結論が出ていません。
化石記録が乏しいため、研究者たちも「この化石は進化の謎をかなり深くまで解き明かしてくれるが、全ての答えにはたどり着けない」と語っています。
それでも、本種のような“原始的かつ特殊な特徴のモザイク”が、新たな進化の可能性を示す重要な証拠であることは間違いありません。