どんな活動に「生きがい」を感じるのか?
では、「目的意識」や「生きがい」はどこから生まれるのでしょうか?
今回の研究では、特定の活動内容は尋ねていませんが、過去の高齢者研究や“ブルーゾーン”の調査から、さまざまな活動が「目的意識」の源になることが分かっています。
・家族や人間関係:子や孫の世話、配偶者や友人との交流
・仕事やボランティア:退職後も働く、地域活動、後進への指導
・趣味や学び:新しいスキル習得、長年の趣味、個人的な目標設定
・他者への貢献:介護や支援、社会貢献、慈善活動
これらの活動を通じて「自分はまだ役割を持っている」「誰かの役に立っている」「成長し続けている」と実感できることが、“目的意識”を育みます。
この感覚が、脳の活性化やストレス軽減、社会的な孤立の防止などを通じて、認知症の予防につながっている可能性が示唆されます。
一方で、研究は「目的意識が高いから認知症になりにくい」という因果関係を証明したものではありません。
しかし、薬剤による治療と比べて「生きがい」は無料で安全、誰もが今からでも始められる“脳の健康法”です。
公衆衛生学者のニコラス・ハワード氏は「人生の目的意識は人間関係や目標、意味ある活動から誰でも作り出せる」と強調しています。
人生の目的を持つことは、早すぎることも遅すぎることもないのです。