ステロイド使用者たちはステロイドをやめる時に「医師」ではなく「ネット」に頼る
分析の結果、ステロイドのやめ方の相談は医師よりもオンライン・フォーラムに依存する傾向がはっきりと示されました。
医療機関に行かない理由としては、「ステロイドやポストサイクルセラピー(PCT)について医師が詳しくない」「否定的に扱われるのが怖い」「不適切な行為だと責められるのが不安」といった心理的・制度的な障壁が挙がっています。
そのため、利用者は体験談や仲間のアドバイスに頼らざるを得ず、短期的な筋肉維持や性機能の回復を優先する声が強くなりがちでした。
そして、ネット上の助言には正しいものと間違ったものが混ざっていました。
「PCTは絶対必要」という主張から、「若いから自然に戻る」「むしろPCTで悪化した」という真逆の意見まで並びます。
なかには過剰投与や誤った薬の組み合わせといった危険な自己流も報告されています。
「PCTをしなかったせいで長く回復しなかった」「骨密度が落ちた」「ホルモンが大きく崩れた」といった投稿も見られました。
専門家のあいだでも、自己流のPCTが本当に効果があって安全なのか、はっきりした意見はまだ出ていません。
個人差が大きく、PCTが回復を早める場合もあれば、回復を遅らせたり、健康リスクを高める可能性も指摘されています。
それでもネット依存が進む背景には、長い時間をかけて作った体が崩れる不安や、気分の落ち込みや性機能低下に直面して、すぐに効きそうな方法を選びたくなる心理が関係しています。
研究チームは「このデータは、ステロイド利用者に対する偏見のない支援が緊急に必要であることを浮き彫りにしている」と結論付けています。