ADHDの人も「自分の強み」を自覚していると幸福度や健康状態がが改善する
調査の結果、ADHDの人は「自分の強み」としてハイパーフォーカス、ユーモア、創造性、自発性、直感力などを、ADHDではない人よりも強く自覚しやすいことがわかりました。
一方で、「忍耐力」はADHDではない人のほうが高く評価する傾向がありました。
また、「自分の強みへの気づき」や「日常でその強みを活用する頻度」は、ADHDの人とそうでない人でほとんど差がなかったことも明らかになりました。
つまり、ADHDの人だからといって、自分の良さに気づいていないわけでも、強みを生かしていないわけでもありません。
さらに注目すべきなのは、「自分の強みに気づいている度合い」や「強みを活用する度合い」が高い人ほど、ADHDの有無に関わらず、主観的な幸福感が高く、生活の質も良好で、うつ・不安・ストレスなどのメンタルヘルス症状が少なかったという点です。
特にADHDの人のグループ内で見ると、「自分の強みを日常でたくさん活用している人」は、そうでない人よりも生活の質が高い傾向がありました。
この結果は、ADHDの人を「困りごと」にフォーカスして支援するだけでなく、「自分の強み」に気づき、それを活かす方法を身につける心理教育やコーチング、日常的なサポートが、幸福感やメンタルヘルスの向上に有効である可能性を示唆しています。
もちろん、今回の研究は「自己評価」ベースであり、実際の行動や成果を客観的に測ったものではないという限界もあります。
また、ADHDの人といっても個人差は大きく、万人に当てはまるわけではありません。
それでも、“できないこと”ばかりにとらわれず、自分の強みを意識し、それを日々活かしていくことが幸福感や健康状態の向上につながる可能性が示されたのです。