イッカクは録音装置を「獲物」だと勘違いしていた可能性
研究チームは、イッカクの行動と録音装置の構造に注目し、いくつかの理由を考察しています。
もっとも有力なのは、イッカクが録音装置を「獲物」と誤認しているという説です。
現地で捕獲された16頭のイッカクの胃の中を調べたところ、すべての個体に食べ物が残っており、その大半がタラの仲間だったことも明らかになりました。
イッカクは深い海の中で超音波を使ってタラやイカなどの餌を探します。
タラには浮き袋があり、超音波をとても強く反射するため、イッカクはそれを捉えているのです。
一方で録音装置も金属製の円筒の内部に空気が入っているため、超音波を跳ね返す特性が浮き袋を持つ魚とよく似ています。
そのためイッカクには、海底近くにある反射の大きな物体が、巨大なタラのように感じられている可能性があります。
実際に録音データには、イッカクが獲物を見つけて追い詰める時に発する音と、衝突の瞬間の大きな音が連続して記録されていました。
「追い詰める時の音」は、獲物を捕らえる直前だけに発する音なので、遊びではなく本気で獲物を狙っている行動だと考えられます。
ちなみに、現地のイヌイトのハンターたちは「イッカクは遊び好きだ」と伝承を語っています。
さらに録音データには、イッカクが装置に体を擦り付けているような音も記録されていました。
そのためイッカクの体当たり行動は背中のかゆみを取る、あるいは遊びや好奇心の表れだという可能性もあります。
とはいえ、深い海で何度も潜ってまで繰り返すのは多くのエネルギーを必要とするため、研究チームは、どちらかというと、録音装置を獲物と誤認している可能性の方が高いと考えています。
そしてイッカクの衝突行動にはさらに深刻な問題があります。
研究期間中に、録音装置のロープに絡まり死んでしまったイッカクの死骸が2頭発見されました。
どちらも尾にロープが巻きつき、水面に浮いている状態で見つかりました。
さらに2017年以降、この海域では少なくとも6基の観測装置が故障したり姿を消したりするなど、大きなトラブルに見舞われていることも分かりました。
これまでは氷山との衝突や機器の腐食などが主な原因と考えられてきましたが、今回の結果から、イッカクの体当たりや絡まりが一部のトラブルに関わっている可能性も高まっています。
この発見は、「動物に優しい」「生態系を乱さない」と信じられていた観測手法が、実際にはイッカクの行動や命に影響を与えている可能性を示した点で、これまでの常識を揺さぶる結果です。
研究チームは、ロープを短くすることや輪の部分を作らないこと、空気入りで魚のようなサイズ感の装置を避けることなど、観測機器の設計を根本から見直すべきだと提言しています。
人工物に対する”生物の不思議な行動”を発見したなら、それは「人と生物の正しいかかわり方」を見つけるためのヒントなのかもしれません。



























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