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イチョウハクジラの全体像/ Credit: ja.wikipedia
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幻の鯨「イチョウハクジラ」の生存個体を初めて確認 (2/2)

2025.11.24 12:00:34 Monday

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世界初「生きた個体」の撮影・DNA採取に成功

【確認されたイチョウハクジラの画像がこちら

最新調査のなかで、研究チームはついにイチョウハクジラの生きた個体を初めて視認しました。

2024年6月1日、船のすぐ横を体長4〜5メートルのクジラが横切り、深く潜っていきました。

続く6月5日には、成体オス・若いオス・母子のペアを含む5頭の群れが長時間にわたり船の近くにとどまり、撮影にも成功しました。

特に成体オスの特徴は印象的でした。

・顎のアーチの頂点に、名前の由来ともなったイチョウの葉のような形の小さな歯

・他のオスとの闘争でついた細い白い引っかき傷

・下顎に独特の白い模様

これらはすべて、これまで論文上で「推測」にとどまっていた情報でしたが、今回の撮影により初めて詳細に確認されました。

【実際の画像がこちら

さらに決定的な証拠として、研究者たちは皮膚の微量サンプルを採取しました。

採れた組織を遺伝子解析したところ、mtDNAの配列が既知のイチョウハクジラと98〜100%一致。

これにより、世界で初めて「海上で生きているイチョウハクジラ」の科学的な同定が達成されたのです。

そして、この遭遇の前後で録音された音響信号を比較すると、目の前にいたクジラたちがまさにBW43パルスを発していたことも確実になりました。

長年謎だった“正体不明の声”は、ついにその主を明かしたのです。

今回の調査により、イチョウハクジラは

・バハカリフォルニア沖の水深800〜2200mの海域に生息

・これまで推定されていたよりもはるかに広い範囲に分布している

可能性が示されました。

海の深みに隠れ続け、科学者たちの前から姿を消していた“幻の鯨”は、実は静かにこの海域で日常を送っていたのです。

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