シャチとイルカが「協力して狩り」をしていた⁈ 映像を撮影 (2/2)

互いにメリットはあるのか？

チームがまず考えたのは「イルカがシャチのそばにいることで、天敵である“イルカ狩りシャチ”から身を守っている」という説です。

実際、この海域にはイルカを獲物とするシャチ集団も生息しています。

しかし、今回観察されたノーザンレジデント系シャチはイルカを標的とはしていません。

そこでイルカたちは、ノーザンレジデントの近くにいることで、危険なシャチ集団から身を守っている可能性があります。

また、シャチと協力することで、自力では食べられない栄養満点なキングサーモンのおこぼれをいただくこともできます。

一方で、シャチ側にもイルカと協力することで、サケをより効率的に見つけて捕獲できる可能性があると考えています。

機動力に優れたイルカが広範囲を泳ぎ回り、サケの群れを発見・追跡することで、シャチはその動きやイルカが使うエコーロケーションの音を手がかりに獲物の位置を把握できます。

また、イルカがサケを追い立てて動きを乱すことで、シャチが大型のサケを仕留めやすくなる可能性もあります。

こうした役割分担によって、シャチは単独で狩りをする場合よりも、探索や捕食の成功率を高めていると考えられるのです。

他方で、「シャチとイルカが協力している」とする見解には、すべての研究者が賛同しているわけではありません。

中には、イルカがシャチの獲物を横取りしているだけ、あるいはシャチがイルカを避けているだけという見方もあり、両者の関係が対等な協力関係かどうかは今後の検証が必要です。

しかし、シャチとイルカの協力関係が明らかになれば、これほど優れた最強タッグは他にないかもしれません。