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手元の音を増幅すると、「今」の作業に集中できる / Credit:Canva
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手元の音を増幅する「日常ASMR」が”今”に集中させる (2/2)

2025.12.15 11:30:46 Monday

前ページ手元の音を増幅させると、「今」に集中できると判明

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まるでASMR!?なぜ「手元の音」が注意を引き戻すのか?

論文が示しているポイントは、装置がマインドフルネスの中核にある2つの仕組み、つまり「注意」と「好奇心」を後押しした可能性です。

音が増幅されると、参加者は、普段なら見過ごしてしまう「触っている物の音の特徴」に気づきやすくなります。

その気づきが、いま手元で起きていることに注意を引きつけ、探索を長引かせたと考えられます。

実際、研究者は試行錯誤行動を観察し、同じ行為を少しずつ変えながら繰り返す探索が、音の増幅がある条件で多いことを示しました。

これは、対象を「もっと確かめたい」という好奇心が高まったサインとして解釈されています。

動画でも分かるように、ASMRで得られる感覚にも似ています。

「特別な音ではないのに、なぜかずっと聞いていられる」といった心地よい感覚が、日常生活で得られるのです。

また、この研究は注意欠如・多動症(ADHD)や不安障害への応用可能性に言及しています。

それは、この装置が注意や思考を意志の力で制御させるのではなく、感覚入力を通じて注意が自然に「今」に戻るきっかけを与える設計だからです。

ただし、この研究自体がADHDや不安障害の症状を改善したと示したわけではなく、現時点では「応用できるかもしれない」という段階に留まります。

今後は、日常環境での長期的な検証や、既存のマインドフルネス訓練と組み合わせた研究、臨床現場での補助的利用の可能性が探られていくと考えられます。

私たちを「今」から遠ざけているのは、意志の弱さではなく、注意を奪いやすい環境なのかもしれません。

この研究は、日常の中にすでに存在している感覚を少し取り戻すだけで、世界との向き合い方が変わり得ることを示しています。

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