エンジンなしで場からエネルギーを吸収して動く物質が教えてくれること

今回の研究では、まず「波が仲介するちょっとズルい押し合い」が、たった2つの発泡スチロール粒からなる連続古典時間結晶を、本当に現実の実験で生み出せることがはっきり示されました。
粒そのものにはモーターも電池もなく、自分で勝手に動き出す力(内蔵エンジン)はありません。
それでも、超音波の定在波という背景に広がるエネルギーの場と、押す力と押し返す力が少しアンバランスになった非相反相互作用のおかげで、2粒は「このくらいの速さで、このくらいの大きさで揺れ続ける」という自分たちのリズムを選び取り、そのリズムを長時間保ち続けます。
これはアクティブ・マター研究の世界で、「粒ひとつひとつが特別なエンジンを持っているから動くのではなく、粒の配置や、粒どうしがどう力を伝え合うかという関係そのものが、“自走しているように見える動き”を生み出すのだ」という考え方を、これ以上ないくらいシンプルな実例で裏づけた成果だと言えます。
著者たちはさらに、この時間結晶を「散逸によってむしろ安定化された状態」として位置づけています。
散逸(運動が周りに逃げていくこと)を生む摩擦や粘性は、ふつうは「せっかくの運動を止めてしまう悪役」として教わりますが、この系ではその役割が少し違います。
ここでは、動きが大きくなりすぎたり乱れたりした部分のエネルギーを、摩擦や空気抵抗がうまく外へ逃がしてくれることで、揺れがちょうど良い大きさとリズムに落ち着きます。
同じ装置を使っていても、粒の大きさの組み合わせや並べ方を変えると、まったく動かない静かな受動状態にもなれば、今回のような活発な時間結晶状態にもなり得ます。
また著者らは、この仕組みが音だけの話で終わらず、光のメタマテリアル(光の通り道を細かく設計した人工材料)や、液体の表面に立つ波など、他のいろいろな「波の世界」にも応用できる可能性を示唆しています。
波と、それに反応して散乱する小さな構造物の組み合わせで、自分でチクタクし続ける小型の発振器や、特定のリズムの揺れだけを強く拾う高感度の共鳴センサー(ある周波数にだけよく反応するセンサー)、さらには時計の心臓部として働く時間基準(時間を刻む基準信号)の設計につながるかもしれません。
生き物の体内時計ネットワークにも、似たような非相反性が潜んでいるのではないか、というアイデアもプレスリリースでは語られており、波とネットワークの関係を考えるうえでのヒントになりそうだと示されています。
もし将来、「波+散乱体」という組み合わせをうまくデザインすることで、好きな場所に、好きなリズムの時間結晶を自由に描けるようになったとしたら、エネルギーのやり取りや情報処理、超精密な計測の世界で、いまとはかなり違った設計図を引けるようになるかもしれません。
たとえば、電子回路だけに頼らずに、音や光の波そのものを使って時間を刻む“波の時計”を作ったり、ごくわずかな波の変化を、長時間にわたるリズムのわずかなズレとして読み取る新しいタイプのセンサーを作ったりする、といった将来像も考えられます。
もしかしたら未来の世界では、教室の片隅で、小さなビーズが音の上に浮かびながら、自分だけのリズムで時間を刻む──そんな「手のひら時間結晶キット」が、当たり前の理科教材になっているのかもしれません。





























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