太陽光の9割を吸収できる「極小の金の球」

並べ方の工夫だけで、発電能力をあげられるのか?
答えを確かめるために、研究者たちはまず、金ナノ粒子を「球の中にぎゅうぎゅうに詰め込んだボール」に変えるところから始めました。
難しそうに思えますが、基本は海水を蒸発させて塩の結晶を作るのと同じです。
かなりザックリ言うと
①金ナノ粒子を水に分散させる
②水を乾かす
③水がなくなるにつれ金ナノ粒子が押し合いへし合いする
④最後に結晶のように規則性を持つ金の超球が出現する
というものです。
顕微鏡を使って超球を拡大してみると、一粒一粒の金ナノ粒子が六角形のタイルのようにびっしり並び、球の内部までほとんどすき間なく詰まっていることがわかります。
この状態になると、容易には崩れなくなります。
そこで研究者たちは超球をもう一度水の中に流し込み混ぜました。
すると見た目は真っ黒なインクのような状態になります。
研究者たちはこの液体をガラス基板の上に何度も垂らして数マイクロメートルの厚さの「超球フィルム」を作りました。
このフィルムに標準太陽光(AM1.5G)に相当する光を当てたところ、可視光から近赤外線までのエネルギーの平均約89%を吸収していることがわかりました。
一方、同じかそれ以上の量の金ナノ粒子をバラバラのままフィルムにした従来型の膜では、吸収できるのは平均約45%にとどまりました。
つまり、同じ材料(どちらも金)でも並べ方を変えただけで「吸える光の量」がほぼ2倍になったのです。
さらに研究チームは市販の熱電発電モジュールの上面に、1センチ四方だけ超球フィルムを塗り、太陽光シミュレータを当てて発電性能を測りました。
その結果、従来の金ナノ粒子フィルムを塗った場合は最大出力密度が0.123ミリワット毎平方センチメートルだったのに対し、超球フィルムでは0.292ミリワット毎平方センチメートルまで増加し、光から熱を経て電気に変わる全体の変換効率も約0.128%から0.303%へとほぼ2.4倍になりました。
では、なぜ丸い「超球」にするとここまで太陽光を吸えるのでしょうか。
研究チームの解析によると、ポイントは殻と中身で役割がちがう二重構造にあります。
超球の表面近くでは、金ナノ粒子どうしが数ナノメートルのすき間をはさんで並んでいて、その細いすき間で光が熱になりやすくなります(金の電子が光に共鳴して揺れる現象)。
一方、超球の中のほうでは、びっしり詰まった金の粒が、まるで「とても光を曲げやすいガラスのかたまり」のようにふるまいます。
そこに近赤外線(目には見えないけれどエネルギーの大きい光)が入ってくると、光が球の中で行ったり来たりしながら立ち波のような状態になり、ぐるぐる閉じ込められてしまいます。
さらに、この金の超球をたくさん積み重ねて、少し厚みのあるフィルムにすると、入ってきた光は球と球のあいだで何度も跳ね返されながらさまよいます。




























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