超重力下で10世代にわたり繁殖したハエたち
研究チームはさらに極端な実験も行いました。
今度は、卵から成虫になるまで、生涯ずっと超重力下で育つショウジョウバエの系統を作ったのです。
この長期・多世代実験で使われたのは、4Gと7Gの環境です。
しかも、それを10世代にわたって続けました。
つまり、卵、幼虫、蛹、成虫、交尾、繁殖のすべてを高重力環境下で繰り返したことになります。
それでもハエたちは生き延び、繁殖を続けました。
もちろん変化がなかったわけではありません。
長期間の超重力曝露では登る能力が低下し、特に7G群で顕著でした。
この傾向は1世代目だけでなく、10世代目でも確認されました。
つまり、超重力環境で長く生活すること自体が、運動行動へより強い影響を与えていた可能性があります。
しかし重要なのは、「極端な環境だから即座に破綻する」という単純な結果にはならなかったことです。
そして今回の研究の本当の驚きは、ハエが13Gに耐えただけでなく、重力の強さに応じて、活発に動く状態と活動を抑える状態を切り替えていた点にあります。
研究チームは今後、どの神経回路が重力を感知するのか、どのホルモンが活動と省エネの切り替えに関わるのか、そして長期世代飼育で遺伝的適応が起きるのかを調べたいとしています。
私たちは普段、重力を「ただ存在する背景」のように感じています。
しかし今回の研究は、その重力が、生物の行動や代謝、さらには「動くか休むか」という行動選択の仕組みにまで深く関わっている可能性を示してくれました。




































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