富士山を押し上げたのは、マグマではなく地下水
では、なぜ山頂付近だけが大雨のあとに隆起するのでしょうか。
チームは、その原因を富士山の地下に広がる水の通り道に求めています。
富士山をつくる新しい時代の溶岩層には、水を通しやすい部分があります。
大雨で大量の水が染み込むと、この透水性の高い層や浅い帯水層が水で満たされ、わずかに膨張します。
その膨張が地表を押し上げることで、山頂付近の電子基準点に数センチの隆起として記録されたのです。
いわば富士山は、大雨を吸い込んだ地下の水脈によって、一時的に内側からふくらむような反応を示したことになります。
ただし、この膨張は長く続くものではありません。
大雨が終わると、隆起や沈降は数日ほどで回復します。
つまり富士山が「伸びる」といっても、雨水による一時的な変化であり、山そのものが恒久的に高くなるわけではありません。
この発見が重要なのは、富士山が活火山だからです。
火山では、噴火の前に地下のマグマが上昇し、山体がふくらむことがあります。
これは噴火予知において重要なサインです。
しかし今回の研究は、富士山ではマグマとは関係なく、大雨だけでも数センチ規模の山体膨張が起こることを示しました。
噴火前兆としてのマグマによる膨張は「熱い膨張」です。
一方、今回見つかった雨水による膨張は「冷たい膨張」です。
どちらも観測上は小さな隆起として現れる可能性があります。
だからこそ、富士山の監視では、山がふくらんだという事実だけでなく、それが雨の後に起きたのか、どの観測点で起きたのか、どのくらいの時間で元に戻るのかを丁寧に見極める必要があります。
富士山は1707年の宝永噴火以来、300年以上噴火していません。
そのため、次の噴火への備えは社会的にも重要な課題です。
今回の研究は、富士山の変形をより正しく読み解くための新しい手がかりを与えてくれます。
大雨のあとに富士山が数センチ高くなるという現象は、一見すると小さな変化です。
しかしその小さな上下動の中には、地下水の流れと火山監視をつなぐ、大きな意味が隠されていました。
富士山は、ただそこに静かに立っているだけではありません。
雨を吸い込み、地下で水を動かし、わずかに膨らみながら、私たちに地球の内部で起きる変化を知らせているのです。







































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