成功の鍵は「仕事の無駄」を削ること
単純に考えると、5日分の成果を4日で出すには、1時間あたりの生産性を25%上げる必要があるように見えます。
しかし論文では、実際にはそれほど単純な「仕事の詰め込み」が必要だったわけではないと説明されています。
重要だったのは、週4日勤務の導入と同時に、企業が仕事の進め方そのものを見直したことです。
例えば、「会議を短くして目的を明確にする」「成果につながりにくい作業を減らす」「仕事の優先順位を見直す」「連絡や予定の組み方を整理する」などです。
こうした「何となく続いていた仕事」を減らすことで、労働時間の短縮が単なる負担増にならずに済んだと考えられます。
つまり、週4日勤務は、従業員に「もっと急いで働け」と迫る制度ではなく、企業に対して、その仕事は本当に必要なのかを問い直させる制度として機能したのです。
研究では、成功した企業に共通する特徴も見えてきました。
それは、経営側が明確な目的を持って制度を始め、従業員側もその成功に関わっていたことです。
論文ではこの形を「経営主導、従業員駆動」と表現しています。
経営者が「週4日にする」と宣言するだけでは不十分です。
現場の従業員が、どの業務を減らせるのか、どの指標を守るべきなのか、休む曜日をどう分けるのかを一緒に考える必要があります。
実際、全員が同じ曜日に休む企業もあれば、顧客対応を維持するために従業員ごとに休む曜日をずらす企業もありました。
この柔軟な設計が、制度の継続を支えたと考えられます。
また、論文では100:80:100モデルについて、在宅勤務やハイブリッド勤務とは異なる形で、仕事と私生活の境界をはっきりさせやすい可能性があると説明しています。
在宅勤務では、仕事場と生活空間が重なり、家にいても仕事の通知に追われることがあります。
一方、週4日勤務では、あらかじめ「この日は働かない」と決まるため、仕事と休みの境界が比較的はっきりします。
その結果、心身を仕事から切り離しやすくなり、燃え尽きの予防やワークライフバランスの改善につながる可能性があります。
ただし、この研究には限界もあります。
対象は15社と少なく、すべて小規模から中規模の企業です。
また、インタビューを受けたのは制度導入を主導した意思決定者であり、制度を前向きに評価しやすいバイアスが含まれる可能性があります。
大企業や病院、介護、小売、飲食、製造ラインのように、常に人の配置が必要な職場でも同じように導入できるかは、まだ分かりません。
それでも、この研究は週4日勤務を考える企業にとって重要なヒントを与えています。
大切なのは、単に休みを1日増やすことではありません。
限られた時間の中で本当に大切な仕事を見極めることが、これからの働き方を変える第一歩になるのかもしれません。





















































