ブラックホールが生まれる直前、「時空は結晶」になる――時空結晶の数式化に成功
ブラックホールが生まれる直前、「時空は結晶」になる――時空結晶の数式化に成功 / Credit: TU Wien
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ブラックホールが生まれる直前、「時空は結晶」になる――時空結晶の数式化に成功 (4/4)

2026.05.25 20:00:09 Monday

前ページ『時空の結晶』の正体──そしてブラックホールへの分かれ道

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ブラックホールの見方が、少しだけ変わった

ブラックホールの見方が、少しだけ変わった
ブラックホールの見方が、少しだけ変わった / Credit:Canva

ブラックホールというのは、長らく「宇宙の終点」のイメージで語られてきました。

なんでも吸い込んでしまう穴。

光さえ逃げられない場所。

すべての情報が消えてしまうように見える、宇宙の最果て。

けれど、今回の研究が示してくれたのは、それとは少し違う姿です。

ブラックホールは、宇宙にいきなり開いた「穴」ではないのかもしれません。

水と氷はどちらも同じH₂Oが、違う”相”として現れた姿でした。

それと同じように、なめらかな宇宙と、ブラックホールも、もしかしたら同じ”宇宙の組み立て”の異なる姿なのかもしれないのです。

(※より厳密には「2次相転移」と呼ばれる臨界現象との数理的な近さです(1995年の小池・原・足立らの研究でも示されています)。

そして、その二つの姿のちょうど切り替わり目に現れるのが、今回数式で記述された「時空結晶」── つまり「凍りかけの宇宙」だった、ということになります。

水が氷になる直前、分子と分子の配置関係が、そろそろ”これから凍る隊形”を組み始める瞬間があります。

ブラックホールが生まれる直前にも、それと同じように、物質と時空が手をつないで”これからブラックホールになる隊形”を組む瞬間があるのかもしれません。

今回の研究は、その一瞬を ── 30年以上、誰も紙の上に書き留められなかったその一瞬を ── ようやく数式という「設計図」として描き出すことに成功しました。

おそらく、これからの理論研究では、この設計図を手がかりに、宇宙の始まりにあったかもしれない極小ブラックホールの姿が、もう一度議論されていくことになりそうです。

そのささやかな相転移と、宇宙の最も極端な存在であるブラックホールの誕生が、根っこに似た数理構造を共有しているかもしれない ── そう思うと、なんだか身近な台所と、宇宙の彼方が、ちょっとだけ近く感じられるのではないでしょうか。

ブラックホールは、私たちが思っていたほど”よそ事”ではなかったのかもしれません。

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