「6174の魔法」は素数の秘密とも関連している

「正体は2倍だった」とわかると、その先のさまざまな謎が、芋づる式にほどけていきます。
研究者たちはこの仕組みを使って、奇数進法のすべての「終わり方」を、まるごと分類してみせました。「面白い例をいくつか見つけた」のではなく、すべての奇数進法について、数字が最後にたどり着く輪を、漏れなく数え上げる道具を手に入れたのです。
たとえば、こんなことが言えるようになりました。
どの奇数進法でも、いちばん長い輪の長さは、「(進法の数 − 1)÷ 2」を超えません。
7進法なら、最長は3ループ。
11進法なら、最長は5ループ。
13進法なら、上限は6です(実際に届くかどうかは、その進法の個性によります)。
そして、ここからもう一つ、面白い発見が出てきます。
その上限ギリギリまで届ける可能性を持つのは、進法の数が「素数」のときだけだったのです。
素数というのは、1と自分自身でしか割り切れない数のこと。2、3、5、7、11、13、17……と続く、整数の世界の「これ以上は分解できない部品」のような存在です。
割れない数で数える世界だけが、理論上の最長記録に届く資格を持ちます。
子どもの数遊びの最終形が、素数という数の最も根源的な性質と結びついていたわけです。
ただ素数だから必ず最長になる、というわけではありません。
素数であることは、いわば「最長記録への参加資格」のようなものです。
資格がないと参加すらできませんが、資格があるからといって優勝できるとは限らないのです。
たとえば、17は素数です。でも17進法での最長の輪は4どまりで、上限の「(17 − 1)÷ 2 = 8」には、まったく届きません。
9進法(こちらは素数ではない合成数)も、上限は4ですが、実際の最長は3です。
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。
それは結局、「折り畳まれた時計の上で、ある数字が何歩で元の場所に戻ってくるか」という、その進法だけが持つ”歩き方の癖”によって決まるからです。
同じ素数でも、時計の上での歩幅には、それぞれ個性があります。
早く家に帰ってきてしまう進法もあれば、長々と寄り道をしてから戻る進法もある。
数の世界には、まだ私たちの知らない”性格”が、たくさん眠っているということなのでしょう。




















































