将来的にリベラルな意見は減っていく?
なぜ左派・リベラル寄りの人々では出生数が下がり、右派・保守寄りの人々では比較的維持されたのでしょうか。
論文では、「第二の人口転換」という考え方が示されています。
これは、近代化した社会で、個人の自由、世俗化、家族観の変化が進み、結婚や出産が以前ほど当然視されなくなることで出生率が下がる、という考え方です。
研究者たちは、左派・リベラル寄りの価値観は、個人主義、平等主義、子どもを持たない生き方の受容と結びつきやすいと説明しています。
こうした価値観は、出産を遅らせること、子どもの数を少なくすること、あるいは子どもを持たないことと関連すると考えられます。
一方、右派・保守寄りの価値観は、家族の価値、宗教性、伝統的な役割と結びつきやすいとされます。
そのため、保守寄りの人々では、結婚や子育てが望ましい生き方として位置づけられやすく、出生数が比較的維持されやすい状況にあるのです。
この見方は、日本の少子化を考えるうえでも示唆的です。
日本でも、賃金や雇用、教育費の問題は少子化と深く関わっています。
しかし同時に、「結婚するのが普通」「子どもを持つのが普通」という考え方は以前より弱まっています。
結婚や出産を選ばない生き方への理解が広がることは、個人の自由を広げる一方、社会全体の出生数を下げる方向にも働きます。
しかしこうした考えを持つ人ほど、子供を作らないとなると、その価値観は世代を重ねるほど受け継がれにくくなる可能性があります。
研究者たちは、先行研究において政治志向が親子間で共有・伝達されやすく、一部には遺伝的要因も関わると報告されていることから、こうした出生差が世代を超えて続けば、将来的に社会全体の政治的な構成が変わる可能性があると述べています。
ただし、これは将来の選挙結果を予測するものではありません。投票行動には、経済状況、政党、候補者、教育、投票率など多くの要因が関わるため、今回の結果から将来は保守政党が強くなると言ってしまうのは強引でしょう。
また、あくまで米国の調査であるため、この結果を単純に日本の少子化問題に当てはめて考える事はできません。
米国では、政治的な保守性と宗教、家族観、避妊や中絶への態度が強く結びつきやすい社会的背景があります。
日本では、宗教と政治、政党支持と家族観の関係が米国とは異なります。
また論文では、白人アメリカ人では政治志向による出生差が明確だった一方、黒人アメリカ人では同じような強い分化は見られなかったとされています。
この点について、研究者は黒人アメリカ人では「リベラル」「保守」という分類が白人アメリカ人ほど一貫して理解されていない可能性があり、そのため政治志向が家族観と結びつきにくい可能性を指摘しています。
また、この研究は観察研究であり、政治志向が出生数を変えたのか、子どもを持つ経験が政治態度に影響したのかを完全には切り分けられてはいません。
とはいえ、少子化が進む社会においては、誰が、どのような価値観のもとで、結婚や出産から距離を置くようになっているのかを考慮することは、将来を予測する上で重要な視点になっていくかもしれません。
世間でよく聞く意見も、こうした人口比率変化から変わって行くのかもしれません。


























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