「一瞬しか存在しない」はずの5価ウランが安定していた
しかし今回、研究者らを最も驚かせたのは、ウランが「5価ウラン」と呼ばれる状態で大量に残っていたことです。
従来、ウランは水に溶けやすい6価から、水に溶けにくい4価へ変化すると考えられてきました。
その途中で5価ウランが生じることは知られていましたが、通常は不安定で、すぐに6価または4価へ変化する一時的な状態だとみなされていました。
ところが今回、黒い沈殿物に含まれるウランの20~30%が、5価ウランの状態で存在していました。
水中のウランが約90%減少した段階では、沈殿物に6価ウランは検出されず、約70%が4価、約30%が5価になっていました。
5価ウランは、炭酸イオンと結びついた状態と、鉄や酸素と結びついたFeU(V)O₄という状態で確認されています。
特にFeU(V)O₄は、鉄を含む丈夫な構造の中にウランが組み込まれるため、5価ウランを安定させていると考えられます。
さらにチームは、ウランを含む沈殿物を空気中に4週間置き、酸素に触れさせる実験も行いました。
酸素に触れると、固体化した4価ウランは再び水に溶けやすい6価へ戻る可能性があります。
実際、空気にさらした後の試料では、4価ウランの割合が約7%まで減少し、6価ウランが約40%に増加しました。
それにもかかわらず、5価ウランは全体の約53%を占めていました。
この結果は、5価ウランの一部が酸素に触れても簡単には壊れず、ウランの再移動を遅らせる「中間的な固定状態」として働く可能性を示しています。

今回の成果は、ウラン汚染の現場ですぐに利用できる浄化技術が完成したことを意味するものでもありません。
実験は1カ所の鉱山から採取した水を用いて、実験室内で行われたものです。
実際の地下環境では、水温や酸素量、酸性度、鉄や炭酸塩の量などが変動するため、同じ結果が長期間続くとは限りません。
また、ウランを固体化しても、ウランそのものや放射能が消えるわけではありません。
将来の実用化には、固体化したウランが数年から数十年後も安定しているのか、環境変化によって再び水中へ溶け出さないのかを確かめる必要があります。
まとめ
今回の研究が示したのは、細菌に有毒なウランを魔法のように消す能力があるということではありません。
細菌群集の活動によって、水に溶けて移動しやすいウランを、鉱物に近い固体へ変え、その場に縛りつけられる可能性です。
特に、これまで一時的な存在と考えられていた5価ウランが、鉄を含む化合物として安定化したことは、ウランの浄化方法を考えるうえで重要な発見です。
地中に生きる小さな細菌たちが作り出す化学環境を上手に利用できれば、将来、鉱山跡地やウラン汚染水の拡大を抑える新たな手段になるかもしれません。




























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