なぜ「視聴頻度」と「うつ傾向」が関連したのか
この結果だけを見て、「ポルノを見るとうつになる」と考えるのは早計です。
孤独感、ストレス、否定的な感情を抱きやすい傾向など、調査されていない第三の要因が、ポルノの視聴頻度と抑うつ症状の両方に影響している可能性があります。
「ポルノ視聴」と「うつ傾向」との関連性を調べたこれまでの研究を踏まえると、以下の可能性が指摘できます。
1:つらい気分から逃れるための視聴
抑うつ気分、ストレス、不安などを抱える人が、一時的に気分を紛らわせる手段としてポルノを利用している可能性があります。
性的な刺激は短時間で注意を引きつけるため、嫌な考えや孤独感から一時的に離れられます。
この場合は「ポルノを見るから抑うつ的になる」というより、もともとのつらい感情が視聴頻度を高めていることになります。
2:頻繁なポルノ視聴が「制御困難な利用」に発展
視聴頻度が多くても、生活に支障がなければ、直ちに問題のある利用とはいえません。
しかし一部の人では、視聴をやめられない、予定していた時間を大幅に超える、仕事や人間関係に支障が出るといった状態が生じる可能性があります。
その結果として、自己嫌悪や生活上の問題が増え、心理的苦痛が強くなることが考えられます。
3:罪悪感や価値観との葛藤が気分を悪化させる
「見るべきではない」と考えているのに視聴してしまう場合、自分の価値観と行動が食い違い、罪悪感や恥、自責感が生じる可能性があります。
これは「道徳的不一致」と呼ばれています。
過去の研究では、この不一致が心理的苦痛と関係する場合があると報告されています。
4:ドーパミンなど報酬系の変化
頻繁な強い刺激によって、報酬への反応や耐性が変化するという神経生物学的な仮説もあります。
ポルノ視聴は、脳の報酬系に作用し、「ドーパミン」という快感をもたらす化学物質を分泌します。
しかし、ポルノの視聴頻度が多くなり、ドーパミン分泌が過度に繰り返されると、脳がその快楽になれてしまいます。
すると、日常生活における喜びや生きがい、満足感などが感じにくくなり、気分の落ち込みや慢性的な倦怠感が生じるのです。
今後
チームは今後、スマートフォンを用いた日単位・週単位の調査などによって、気分とポルノ利用が短い時間の中でどう変化するのかを調べる必要があるとしています。
今回の研究は、ポルノ視聴がうつ病を引き起こすと示したものではありません。
それでも、頻繁なポルノ利用と抑うつ症状が、年齢や性別、道徳観だけでは説明できない形で長期的に併存していたことは、見過ごせない結果です。
重要なのは、視聴回数だけで善悪を判断するのではなく、その人が何のために視聴しているのか、気分や生活にどのような影響が出ているのかを、より丁寧に見ていくことでしょう。




























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