宇宙でレントゲン写真の撮影に成功!
乗員は飛行前と飛行中に、手、前腕、胸部、腹部、骨盤などを撮影しました。
運用時間の制約により、実際に軌道上で身体を撮影されたのは2人でしたが、比較に用いられた人体画像は飛行前7枚、飛行中7枚となりました。
3人の放射線科医が、画像が地上と宇宙のどちらで撮影されたかを知らされない状態で評価したところ、すべての画像が診断に利用できる基準を満たしていました。

全体的な画像品質、細かな構造を見分ける空間分解能、濃淡を見分けるコントラスト分解能には、飛行前と飛行中で明確な差がありませんでした。
一方で、胸部、腹部、骨盤では、宇宙で撮影した画像の位置合わせが地上より悪化していました。
つまり、最大の障害はX線装置そのものではなく、浮かぶ患者、X線源、検出器を一直線に並べて固定することだったのです。
研究で推定された装置由来の被ばく量は、参加者1人あたり0.3~2.7ミリシーベルトで、地上の一般的な臨床撮影を超える水準ではないと評価されました。
さらに乗員はスマートウォッチも撮影し、内部部品を1ミリメートル未満の細かさで確認しました。
将来は人体の診断だけでなく、宇宙服や電子機器を分解せずに点検する「非破壊検査」にも使える可能性があります。

帰還時には装置の外装に軽微な損傷が生じましたが、X線出力や内部機器は正常に機能していました。
ただし今回の研究は、健康な少人数の乗員を対象とした実現可能性試験です。
実際の骨折や病気を宇宙で診断したわけではなく、痛みで動けない患者を撮影できるか、地球と即時通信できない月や火星で画像を判断できるかも未検証です。
それでも、わずかな訓練を受けた非医療従事者が、微小重力下で診断可能な人体X線画像を得られた意味は小さくありません。
装置の固定方法や耐久性、AIによる撮影支援などが整えば、レントゲン装置は将来の月・火星ミッションを支える基本的な医療機器になるかもしれません。


































