広島の原爆投下が新物質を生み出していた

そこでビンディ氏らは、ヒロシマアイトの断面を電子顕微鏡で調べることにしました。
すると、ある1個の内側に、こまかな金属のかけらがたくさん閉じこめられている区画が見つかりました。
玉全体から見れば、体積でほんの1〜3パーセントほどの量で、ガラスの海に浮かんだ、金属の島のようなものでした。
34個のヒロシマアイトのうち、金属を多く含んでいたのは、この1個だけでした。
研究者たちはその断面から、見込みのありそうな4片を選び、細い針で摘み出しました。
金属片の直径はおよそ10マイクロメートル。1ミリの100分の1ほどしかありません。
赤血球と同じくらいのものを、針の先でつまみ出したことになります。
次に研究者たちは、その組成を調べてみました。
すると3粒は、ありふれた鉄クロム合金でした。
原子の並び方も、鉄と同じ、何の変哲もない形でした。
しかし4粒目だけが、違いました。
研究者たちが調べたところ、重さの6割強が鉄。あとはクロムが約15パーセント、ニッケルが約9パーセント、そこにマンガン、モリブデン、アルミニウムが少しずつ含まれていることがわかりました。
ここまでは他の3粒と、元素の顔ぶれはほとんど変わりません。
どれも蒸発した建物や街の資材から来たと考えて無理のない、ありふれた材料ばかりでした。
鉄とクロムとニッケルの組み合わせにいたっては、台所のステンレスと同じ顔ぶれです。
変わっていたのは、そこに一つ加わっていたものでした。
4粒目には、ケイ素が7パーセントほど含まれていたのです。
そして、この多すぎるケイ素が、思いもよらない場所に座っていました。































