発表まで何年も待った理由は「殺したくなかった」から
ただ、このヘビが正式に発表されるまでには、何年もの待ち時間がありました。
新種を正式に報告するには、ふつう死んだ個体を保存し、「ホロタイプ(その種の基準になる標本)」として博物館に収める必要があります。
しかしティウテンコ氏は、報告のためにヘビを安楽死させたくなかったと、メディアの取材に語っています。
写真や動画だけで新種を報告した研究も最近はありますが、これも科学者のあいだで批判されてきたと氏は言います。
生きた個体を基準にするのも、逃げるおそれがあるうえ、年をとると特徴が変わってしまうため良い方法ではないそうです。
そこで氏は、死んだヘビが見つかるまで何年も待つことにしました。
やがて地元の村人に殺された1匹が見つかり、氏はそれを基準の標本に指定して、ようやく発表へ進めたのです。

分析によると、このヘビはソマリア高原の南斜面だけにすむ固有種(その地域にしかいない種)とみられ、自然の森のほか、畑として切りひらかれた場所や村の集落にも現れます。

バレ山地国立公園の中にいるかどうかは、まだ確かめられていません。
そして、このヘビにとって最大の危険は人による迫害だと氏は指摘します。
この地域に危険なヘビはすんでいないのに、人々はヘビというだけで怖がったり嫌ったりして殺してしまうというのです。
インクのように黒い体の喉の奥にあったのは、毒ではなく、鳥の卵の殻を割るための背骨でした。
怖そうに見える生き物も、何を食べて暮らしているのかを知ると、まるで違う姿に見えてきます。
ここからは、タマゴヘビをもっと知りたい人へ
タマゴヘビとは、鳥の卵を専門に食べるヘビの仲間です
タマゴヘビの仲間は、おどかされると体の横のウロコをこすり合わせて、ヘビが「シューッ」と息を吐く時のような音を立てます。
仲間の1種のアフリカタマゴヘビは、怒ると体を巻いたりほどいたりしながら、相手に向かって激しく飛びかかるしぐさも見せます。
木登りも得意で、アフリカタマゴヘビはアフリカ南部の草原などに多くすんでいます。
この種は夜に活動し、昼間は岩の下や、はがれかけた木の皮の下に隠れています。
分類ではナミヘビ科に入り、本文に出てきたアトラ種にはクロタマゴヘビという和名があります。
アフリカ南部では、アフリカタマゴヘビが毒ヘビのナイトアダーの仲間とまちがえられることがあります。





