木の幹の上で、先が二つに分かれた舌を出すヘビ No.0009

ナゾロジー図鑑 ・ 生き物

ヘビ

Serpentes

手も足もないのに、
木に登り、泳ぎ、空まで滑空する。

ナゾロジーの記事
64本
なかま
約4,000種
背骨の数
200〜400個

ヘビは、手足のない細長い体をもつ爬虫類のなかま。南極をのぞく世界中に約4,000種がいて、日本にもアオダイショウやニホンマムシ、ヤマカガシなどがすんでいます。舌でにおいをかぎ、自分の頭より大きな獲物も丸のみにします。

図鑑データ

分類
動物界 › 脊索動物門 › 爬虫綱 › 有鱗目 › ヘビ亜目
学名
Serpentes
英名
snake(スネーク)、serpent
種の数
約4,000種
大きさ
全長10cmほど(メクラヘビのなかま)〜6.95m(アミメニシキヘビ)
すみか
南極をのぞく全大陸。地上・土の中・木の上・川や海
日本では
アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシ、ニホンマムシなど。奄美・沖縄にはハブ
食べもの
すべて肉食(ネズミ、鳥、卵、カエル、魚、ほかのヘビなど)
寿命
飼育下で40年以上生きるものもいる
増え方
約70%は卵を産む。子を産む種もいる
背骨の数
200〜400個ほど

ヘビとは

ヘビは、爬虫類の「有鱗目(ゆうりんもく)ヘビ亜目」にまとめられる生き物です。体が細長く、手足がないのがいちばんの特徴です。トカゲとは近い親戚で、どちらも体がうろこでおおわれています。

世界には約4,000種がいて、南極大陸をのぞくすべての大陸にすんでいます。地面の上だけでなく、土の中、木の上、川や海まで、いろいろな場所でくらしています。

「蛇」という漢字に「虫」がつくのは、「虫」という字がもともとヘビの形をかたどった字だからです。英語の snake や serpent も、もとは「はうもの」という意味だといわれています。

大きさと体のつくり

大きさは、全長10cmほどのメクラヘビのなかまから、6.95mにもなるアミメニシキヘビまでさまざまです。いちばん重いのは南米のオオアナコンダで、97.5kgの記録があります。ただ、多くのヘビは全長1mくらいです。大昔には、全長12.8mのティタノボアという巨大なヘビもいました。

  • 背骨とろっ骨:骨格は、頭の骨と、長く連なる背骨とろっ骨でほとんどができています。背骨は200〜400個ほど(もっと多い種もいます)。胴の背骨には1個につき2本のろっ骨がつき、尾の骨にはろっ骨がありません。
  • 内臓:細い体に合わせて内臓も細長く、腎臓のように左右で対になった臓器は、前後にずれて並んでいます。肺は多くの種で1つだけがはたらき、左の肺は小さくなっています。
  • 皮ふ:ヘビの皮ふは乾いていて、ヌルヌルしてはいません。おなかの幅の広いうろこを地面に引っかけて進みます。
  • 目:まぶたがなく、目は透明なうろこでおおわれています。そのため、まばたきをしません。
細かいろっ骨がずらりと並ぶ、くねったヘビの骨格
ヘビの骨格標本写真: dbking(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

成長すると、古い皮を頭から尾まで1枚で脱ぎます(脱皮)。目をおおう透明なうろこもいっしょに脱ぎます。

黒い背景に置かれた、うろこ模様が残るヘビのぬけがら
ヘビのぬけがら写真: Kiran Vati K(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

手足はなぜなくなった?

ヘビは、トカゲのなかまから進化したと考えられています。白亜紀の地層からは、後ろあしが残ったヘビのなかまの化石が見つかっていて、約9500万年前のナジャシュは2本の後ろあしをもっていました。ただ、ヘビの祖先が土の中でくらしていたのか、水の中でくらしていたのかは、まだ決着がついていません。

ニシキヘビの胚(卵の中で育つ赤ちゃん)には、後ろあしのもとがいったんできます。しかし、あしをつくる遺伝子のはたらきを調節する部分(エンハンサー)に変異が起きているため、あしが育たないことが2016年の研究で分かりました。ニシキヘビやボアのなかまには今も後ろあしの名残があり、総排出口の両わきに小さな「けづめ」として残っています。

ヘビの腹側の総排出口の両わきにある小さなつめ
ボアコンストリクターの「けづめ」写真: Stefan3345(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

今いるヘビのなかまの多くは、恐竜が絶滅した約6600万年前より後に、種類を大きく増やしたと考えられています。

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足がないのにどうやって進む?

ヘビは手足がなくても、場所に合わせて動き方を切りかえます。

  • くねくね進む:体を左右に波打たせ、石や草などに体を押しつけて前へ進みます。いちばんよく使う方法で、泳ぐときもこの動きです。
  • まっすぐ進む:おなかのうろこを少しずつ持ち上げて前へ送り、体を引きよせます。いちばんゆっくりですが目立たないので、大きなニシキヘビやボアなどが獲物にしのびよるときに使います。
  • アコーディオンのように進む:せまいトンネルなどで、体の後ろを壁に押しつけて前を伸ばし、次は前で体を支えて後ろを引きよせます。
  • 横向きに進む:砂や泥のようにすべる地面では、体の一部だけを地面につけ、ほかの部分を持ち上げながら斜めに進みます(サイドワインディング)。
砂の上をS字にくねって進む小さなヘビと、色分けされた体と跡
横向きに進むヨコバイガラガラの子ども写真: HCA(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

木の上では、枝に体を引っかけて登ります。東南アジアのトビヘビのなかまは、ろっ骨を広げて体を平たくし、木から木へ滑空します。パラダイストビヘビは、最大30mも滑空できます。

ヘビが「とぐろ」を巻くのは身を守るためです。弱いおなかを守りながら頭を高く上げてまわりを見わたし、いざというときにすぐ逃げたり、攻撃したりできる姿勢です。

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どこにいる? 日本のヘビ

ヘビは南極大陸をのぞくすべての大陸と、多くの島にすんでいます。ただし、アイルランドやアイスランド、ニュージーランドのように、ヘビがいない島もあります。毒ヘビは熱帯や亜熱帯に多くいます。

日本の本土でよく見かけるのは、アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシです。

  • アオダイショウ:全長100〜200cmで、日本本土でいちばん大きなヘビ。毒はなく、木登りが得意です。人家の屋根裏などにひそんで、ネズミをとることもあります。
  • ヤマカガシ:全長60〜120cm。水田などでカエルをよく食べます。毒ヘビです(くわしくは「毒をもつヘビ」で)。
  • ニホンマムシ:最大でも全長80cmほどの、ずんぐりした体に大きな三角形の頭をもつ毒ヘビ。日本列島とそのまわりの島にだけすんでいます。
  • ハブ:全長100〜240cmになる毒ヘビ。奄美群島と沖縄諸島の島々にだけすむ、日本の固有種です。

葉のあいだから顔を出すアオダイショウ
日本本土でいちばん大きなアオダイショウ写真: Hiroki Itô(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

地面の上で頭をもたげるニホンマムシ
三角形の頭をもつニホンマムシ写真: Alpsdake(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

何を食べる? 大きな獲物を丸のみできるわけ

ヘビはすべて肉食です。種によって、ネズミなどの小さな哺乳類、鳥、卵、トカゲ、カエル、魚、カタツムリ、ミミズ、昆虫、そしてほかのヘビまで、いろいろなものを食べます。キングコブラのように、ほかのヘビを食べるヘビもいます。

ヘビは獲物をかみちぎれないので、丸のみにします。「あごを外して飲みこむ」といわれることがありますが、実際に外れているわけではありません。下あごは左右2本の骨がのびる靭帯(じんたい)でつながっていて、頭の骨の関節もよく動くので、口をとても大きく開けられるのです。歯はのどの奥へ向かって反り返っていて、あごを動かしながら、獲物を少しずつ奥へ送りこみます。

大きな獲物を飲んでいても息がつまらないのは、気管の入り口(声門)が口の中の下あご側にあるためです。

口を大きく開けて白いネズミを飲みこむヘビ
ネズミを丸のみにするガボンアダー写真: DoctorCondor(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

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獲物のとらえ方は、かみついてそのまま飲みこむ、体を巻きつけてしめつける、毒で動けなくする、などさまざまです。変温動物で体温を保つためのエネルギーがいらないこともあり、食事の間かくは数日から数週間ほどあきます。2026年の研究では、ヘビは「空腹ホルモン」とも呼ばれるグレリンの遺伝子を失っていることが分かり、長い絶食に耐えられることと関係していると考えられています。

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舌をチロチロ出すのはなぜ?

ヘビが舌を出し入れするのは、においをかぐためです。二またに分かれた舌の先で、空気や地面からにおいの粒を集め、口の中にある「ヤコブソン器官(鋤鼻器:じょびき)」に運んで調べます。舌の先が二またなので、においがどちらから来るのかも分かります。

  • 熱を見るピット器官:マムシやハブ、ガラガラヘビなどのなかまは、目と鼻のあいだに「ピット器官」というくぼみがあり、動物の体温(赤外線)を感じとれます。ほんのわずかな温度のちがいも分かります。ボアのなかまは、上くちびるに小さなピットが並んでいます。
  • 耳:耳の穴や鼓膜はありませんが、内耳はあります。地面の振動を下あごで感じとるほか、静かな所なら小さな話し声くらいの音も感じとれることが分かっています。
  • 目:見る力は種によってさまざまです。木の上でくらすヘビは目がよく、土の中でくらすヘビには明るさしか分からないものもいます。昼に活動するヘビは丸いひとみ、夜に活動するヘビには細長いひとみのものが多くいます。
正面からこちらを見るハブの顔
正面から見たハブ写真: B. P. White(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

毒をもつヘビ

毒ヘビは約725種で、そのうち人を一かみで死なせるほどの毒をもつのは約250種とされます。ヘビ全体で見れば、多くの種は毒をもっていません。

ヘビの毒は、だ液が変化したものです。毒ヘビは、上あごの奥にある毒腺でつくった毒を、牙を通して獲物に注入します。クサリヘビのなかま(マムシやハブなど)の牙は注射針のように中が管になっていて、ふだんは折りたたまれています。コブラのなかまの牙は折りたためません。毒は本来、身を守るためというより、獲物を動けなくするためのものです。

日本のヤマカガシは、上あごの奥にある短い牙の毒とは別に、首の皮ふの下にも毒腺(頸腺:けいせん)をもっています。この首の毒は、食べたヒキガエルの毒をためて使っていると考えられています。日本では、ヤマカガシにかまれて亡くなった例も報告されています。

首に黄色い帯があるヤマカガシの頭
首に黄色い帯があるヤマカガシ写真: Alpsdake(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

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ガラガラヘビは、尾の先にある中が空洞の節をふるわせて音を出し、相手をおどします。遠くの相手には最大40Hz、近づいた相手には最大100Hzの音を出して威嚇します。

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ヘビにかまれる被害は、とくに医療が届きにくい地域で深刻です。世界保健機関(WHO)は、ヘビにかまれて亡くなる人が世界で毎年10万人ほどにのぼると推計しています。治療には、ヘビの毒からつくる抗毒素(血清)が使われます。

寿命と増え方

ヘビはすべて、体の中で受精します。約70%のヘビは卵を産み、多くは産んだあとに卵を置いていきます。いっぽう、ニシキヘビのなかまの多くは卵に巻きついて守り、寒いときは体をふるわせて熱をつくり、卵を温めます。ボアコンストリクターやオオアナコンダのように、おなかの中で子を育てて産む種もいて、子を産むヘビは寒い地域に多い傾向があります。日本のニホンマムシも子を産むヘビで、1回に2〜3匹を産みます。

オスがいなくてもメスだけで子が生まれる「単為生殖(たんいせいしょく)」も、北アメリカのアメリカマムシ属のヘビなどで確認されています。

寒い地域のヘビは、冬になると冬眠します。ヘビの冬眠は、ほ乳類のように深く眠るのではなく、目は覚めていても動かずにじっとしている状態です。穴の中や岩の下などに、たくさんのヘビが集まって冬を越すこともあります。ニホンマムシは11月から翌年の3月ごろまで冬眠します。

野生のヘビの寿命は、よく分かっていないものが多いのですが、飼育下では40年以上生きるものもいます。アオダイショウでは、飼育下で17年7か月の記録があります。

よくある疑問

ヘビはなぜ舌を出すの?
においをかぐためです。二またの舌で空気や地面からにおいの粒を集め、口の中のヤコブソン器官に運んで調べています。舌の先が二またなので、においの方向も分かります。
頭が三角形のヘビは毒ヘビ?
必ずしもそうではありません。マムシやハブは三角形の頭ですが、毒ヘビのヤマカガシの頭は三角形ではありません。反対に、毒のないアオダイショウやシマヘビが、おどすときに頭を三角形に広げることもあります。
日本にいる毒ヘビは?
本土で身近な毒ヘビはニホンマムシとヤマカガシ、奄美群島と沖縄諸島にはハブがいます。かまれたら、すぐに医療機関で手当て(抗毒素の血清など)を受けてください。
ヘビの冬眠はいつ?
寒い地域のヘビは冬に冬眠します。たとえばニホンマムシは11月から翌年の3月ごろまでです。ヘビの冬眠は深く眠るのではなく、目覚めたまま動かずにじっとしている状態です。
ヘビの寿命は?
種や環境によってちがい、野生での寿命はよく分かっていないものが多くあります。飼育下では40年以上生きるものもいて、アオダイショウでは17年7か月の記録があります。
ヘビは耳が聞こえるの?
耳の穴や鼓膜はありませんが、内耳はあります。地面の振動を下あごで感じとり、静かな所なら小さな話し声くらいの音も感じとれることが分かっています。

ナゾロジーで読む64本

  1. 01 毒ヘビほど「目立つ色」をしていると判明
  2. 02 ヘビの尾にある「クモ」はすべて皮膚でできていた
  3. 03 翡翠色の美しい「新種ヘビ」、カンボジア洞窟で発見か
  4. 04 ヘビが1年間「何も食べず」に過ごせる理由が判明
  5. 05 キングコブラが列車で長距離移動している【インド】

参考文献

  1. Kvon EZ ほか (2016) Progressive Loss of Function in a Limb Enhancer during Snake Evolution. Cell
  2. Klein CG ほか (2021) Evolution and dispersal of snakes across the Cretaceous-Paleogene mass extinction. Nature Communications
  3. Pinto RR ほか (2026) Ghrelin and MBOAT4 are lost in Serpentes. Open Biology
  4. Wikipedia「ヘビ」(日本語版)
  5. Wikipedia「Snake」(英語版)
  6. Wikipedia「アオダイショウ」(日本語版)
  7. Wikipedia「ニホンマムシ」(日本語版)
  8. Wikipedia「ヤマカガシ」(日本語版)
  9. Wikipedia「ハブ (動物)」(日本語版)
  10. Wikidata「snake」(Q2102)

表紙の写真: Nishant Sharma Parajuli(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons
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この図鑑は、参考文献の資料をもとに、ナゾロジー編集部がまとめています。