大発見は日頃の地道な観察から
セシリアンはアフリカ、アジア、アメリカ大陸の熱帯気候に生息する両生類で自分で掘ったトンネルの中で生活するためか、ほとんど目が見えていません。
また、セシリアンは敵に襲われた場合、巣穴に頭から逃げ込んで、毒を含んだ尻尾で栓をすることが知られていました。
しかしセシリアンについてはそれ以上の情報はほとんどなく「最も研究されていない脊椎動物」と言われていました。
ブタンタン研究所のフォンタナ氏は、そんなセシリアンを研究する数少ない研究者の一人であり、セシリアンの分泌する粘液について調べていました。
セシリアンは尾部から分泌する毒液以外に、トンネル内を効率よく移動するために頭部からも粘液を分泌しています。
しかし、粘液を分泌する分泌腺を調べているうちに、ふと、これまでの両生類には見られない分泌腺がセシリアンの口の中にもあることに気付きました。
口内で牙に隣接した分泌腺は通常、ハ虫類など毒を狩りに使う生き物にみられるものです。
そのためフォンタナ氏は、セシリアンも両生類でありながら、狩りに毒を使っていると考えました。
セシリアンの主なエサはカエルやトカゲであり、毒をしたたらせた牙で噛みつくことで、これらの獲物の捕食が容易になる可能性があったからです。