- ヘビとカエルが睨み合うのは相手の出方を伺っているから
- 先手必勝だけが生き抜く術ではない
「ヘビに睨まれたカエル」ということわざを聞いたことはないでしょうか。苦手なものの目の前で、身がすくんでしまい動けなくなる様子の例えです。
ヘビ(捕食者)に出会ってしまったカエル(被食者)にとっては、すぐに逃げることが最もうまく生き残る術であると思うかもしれません。しかし話はそう簡単ではないようです。
この行動について京都大学理学研究科博士課程学生の西海望氏らが、カエルの身がすくんでしまうはお互いの動きを伺っているからであるということを明らかにしました。
どうやらカエルとヘビは、自分から攻撃を仕掛けずにカウンターを狙っているようです。
研究の詳細は、3月10日付けで「Canadian Journal of Zoology」にオンライン掲載されています。
https://www.nrcresearchpress.com/doi/abs/10.1139/cjz-2019-0164
一度跳んだら手遅れに…放物線はヘビに見切られる
被食者と捕食者は食べる食べられるの攻防を通して、ともに進化してきました。そのためお互いに多くの戦術を持っています。一般的に捕食回避するための戦術は先手が有利であると考えられていました。しかし冒頭のことわざにあるようにカエルは先手を取らないのです。
今回の研究では実験室内でトノサマガエルとシマヘビを対面させ捕食の動作をビデオで撮影しました。そのビデオからカエルの回避行動には先手を取ると決定的に不利になる特徴が見つかりました。
カエルが跳んで逃げるとき、ジャンプの軌跡が放物線を描くのです。
一度地面を離れるとカエルに働く力は重力のみになります。つまりカエルは空中で進路を変えることができません。その結果ヘビに動きを見切られ捕食されてしまいます。
そのため先手をとって飛ぶことがカエルの残存性を低下させるのです。