バイキングの暴力を物語る「家の中の痕跡」を発見
バイキングの暴力を物語る「家の中の痕跡」を発見 / 刃物でつけられたかもしれない傷の跡がある、女性の頭の骨です。Aが頭の骨で、BとCは同じ骨を立体の模型や特殊な撮影で写した画像です。 Credit: Eriksen et al., Journal of Archaeological Method and Theory (2026)(CC BY 4.0)
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バイキングの暴力を物語る「家の中の痕跡」を発見

2026.10.17 18:00:00 Saturday

バイキングと聞くと、船で海を渡って各地を襲う、荒々しい戦士の姿を思い浮かべる人も多いでしょう。

実際、鉄器時代からバイキング時代にかけてのスカンジナビアは、戦士を重んじる考え方が広まった時代として知られます。

時代でいえば、紀元前500年ごろから西暦1050年ごろまでにあたります。

ところが意外なことに、当時の墓地に眠る人々の骨には、けがの跡が比較的少ないことが知られてきました。

荒々しい時代のはずなのに、暴力の跡はどこに残されていたのでしょうか。

国際研究プロジェクト「BODY-POLITICS」のチームは、その答えを墓地ではなく、人々が暮らした家の中に探しました。

家の炉や床下から見つかった骨は、いったい何を物語っていたのでしょうか。

研究の詳細は、2026年9月28日付で学術誌『Journal of Archaeological Method and Theory』に掲載されました。

Broken bones in ancient homes shed new light on Viking violence (Phys.org) https://phys.org/news/2026-10-broken-bones-ancient-homes-viking.html デンマーク国立博物館「What were Viking homes like?」 https://en.natmus.dk/historical-knowledge/denmark/prehistoric-period-until-1050-ad/the-viking-age/the-people/viking-homes
Broken bodies in Domestic Spaces: Direct and Structural Violence in an Atypical Mortuary Dataset from Iron and Viking Age Scandinavia https://doi.org/10.1007/s10816-026-09817-w
この研究の概要
発表
考古学の専門誌『Journal of Archaeological Method and Theory』に、2026年9月に発表されました。
研究チーム
国際研究プロジェクト「BODY-POLITICS」の研究チームで、論文の筆頭はマリアンネ・ヘム・エリクセンさんです。
調べた対象
スカンジナビア南部と中部の集落で、家や穴、井戸、炉などに置かれていた人の骨のうち、焼かれていないもので、およそ192人分です。
調べ方
骨が置かれていた197か所のうち123か所の骨は研究者が直接調べ、収蔵先が閉じていて調べられなかった残り74か所は、発掘の報告書や記録から情報を集めました。
分かったこと
192人のうち12人(約6%)の骨に合わせて19か所のけがの跡があり、少なくとも8人には意図して加えられた暴力の跡がありました。骨の一部しか残っていない人が多いにもかかわらず、この割合は、これまでに報告されたバイキング時代の墓地の多くと同じくらいでした。
まだ分かっていないこと
多くの人は骨の一部しか見つかっていないため、体のほかの部分にけががあったかどうかは分かっていません。そのため研究チームは、実際のけがの割合はもっと高かったとみています。

墓地に葬られなかった人々の骨を調べる

これまで、過去の暴力を知るおもな手がかりは、墓地から出てくる骨でした。

バイキングの時代の暴力は、英雄の物語(サガ)などの書き物からもうかがえます。

また、土を盛った墓や、多くの人をまとめて埋めた墓からは、ひどいけがを負った骨が見つかってきました。

しかし研究チームは、暴力の犠牲者のかなりの部分が墓地に葬られていないことに目を向けました。

当時は、誰もが墓地できちんと弔われたわけではなかったからです。

人々は、遺体やその一部を、家や井戸、宴を開く広間に置くこともありました。

そこでチームが注目したのが、暮らしの場で見つかった、ばらばらの骨や、ある程度そろった骨です。

見つかった場所は、細長い家(ロングハウス)の中や、穴、井戸、柱を立てた穴、そして炉などさまざまです。

バイキングのロングハウスです(アンスト)。
バイキングのロングハウスです(アンスト)。Credit: Gerald England / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

こうした骨は、これまで研究の中であまり目を向けられてこなかった資料でした。

チームは、博物館に収められた骨と、以前の発掘の報告書をあらためて見直しました。

探したのは、骨に残るけがの跡と、そのけがが治った跡です。

骨の形を詳しく見る方法に、遺伝子などの分子を調べる方法や、デジタル画像を使う方法も組み合わせました。

対象となったのは、およそ1500年にわたる時代に、暮らしの場へ置かれた200人近くの骨です。

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