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「寿命」はほぼ遺伝しないことが判明。重要なのはライフスタイル

2018.11.12 Monday

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Point
・4億人以上を対象とした大規模な「家系と寿命」に関する研究が実施される
・夫婦で長生きする程度が似ることから、環境が遺伝子よりも重要であることがわかる
・配偶者の選択による偏りを除いて計算したところ、遺伝子が寿命に及ぼす影響は7%以下

おばあちゃんが長生きだからといって、自分も長生きするとは限りません。

4億人以上を対象とした新たな研究で、寿命に遺伝子が与える影響はほんの少しであることがわかりました。寿命を決める要因で大きいのはライフスタイルで、寿命が与える影響は10%を下回っています。研究はグーグルの子会社“Calico Life Science LLC”が、オンラインで家系図を扱う企業“Ancestry”の協力のもと行い、“Genetics”で発表されています。

Estimates of the Heritability of Human Longevity Are Substantially Inflated due to Assortative Mating
http://www.genetics.org/content/210/3/1109

先行研究では、遺伝子が寿命に与える影響は15%から30%であることが示されています。そして、遺伝子以外の要因としては、普段食べているものや事故の可能性などが挙げられます。

研究は、439,361,203人からなる親戚関係の情報と、誕生年、死亡年生まれた場所などの「血統」情報を元に行われました。情報は、Ancestryへの登録者情報が匿名データとして利用されています。

データが膨大なため、血のつながった世代間を調べられるだけでなく、血のつながっていない姻戚間での関係も調べることが出来ました。数学的、統計的な解析の結果、血の繋がりのある兄弟や従兄弟間での遺伝子の影響は、以前の研究に近く、20%から30%の間で、異性間では15%にまで落ちることがわかりました。

また、配偶者間の寿命が似ることも発見。その類似性は、異性の兄弟間よりも高くなっていました。考えられる理由は、夫婦は同じ屋根の下で暮らすため、食事やライフスタイルを共有するということです。

さらに、面白い結果も得られています。別の場所で暮らす、血のつながっていない義理の兄弟やいとことも寿命が似てくることが示されたのです。研究者によると、その理由は同類交配にあると考えられます。つまり、似たような形質を持つ人が結婚しやすいということです。

寿命に関しては、いつ死ぬかを結婚するときに知ることは出来ないので、寿命に関わる遺伝子の同類交配というわけではなさそうです。それよりも、「収入がどれほどあるか」といった、寿命に大きく関わる形質が関係している可能性があります。つまり、収入が似た家族出身者同士が結婚しやすいということのようです。

配偶者の選択を計算に入れて推定したところ、寿命に遺伝子が与える影響はせいぜい7%か、それ未満である可能性があることがわかりました。

もちろん、遺伝子は寿命に影響を及ぼします。100歳を越えるような寿命の長い人たちは共通する長寿遺伝子を持っていますし、細胞の老化に関わる遺伝子も見つかっています。とはいえ、普通の人が長生きするためには、おばあちゃんの遺伝子に気をとられるよりも、体に良いものを適量食べ、適度に運動するのが良さそうです。

収入が寿命に関わり、さらに配偶者の選択にも影響してると聞くと、「絶望した!」と叫びたくなりますが、遺伝子に関わらず健康な生活を心がけることで寿命を伸ばすことが可能だという結果なので、絶望せずにライフスタイルを見直すことにしましょう。

「寿命」がわかる血液検査が開発される

via: CNN/ translated & text by SENPAI

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