・ペンシルベニアで三種の鳥が交配したハイブリッドのアメリカムシクイが新たに発見される
・ハイブリッド鳥は、「ブルースター種」の母と「ワキチャアメリカムシクイ」の父を持ち、さらに「ブルースター種」はアオバネとキンバネムシクイのハイブリッドである
・「ブルースター種」が他の種と交配したという記録は今回が初めてで、原因は「ブルースター種」の数が近年減っていることにある
南北アメリカにのみ生息する、アメリカムシクイという鳥類に新たな種が発見されました。
研究によると、その新種は三種類のアメリカムシクイのハイブリッドで、この異種交配は今までに観察されたことがないとのこと。研究は11月7日にBiology Lettersにて掲載されています。
http://rsbl.royalsocietypublishing.org/content/14/11/20180557
今回ペンシルベニアで発見されたハイブリッド鳥を発見したのは、バードウォッチャーのローウェル・バーケット氏です。バーケット氏がいつものようにバード・ウォッチングに励んでいたところ、その映像の内のひとつに、見たことのない特徴を持つ鳥を発見。その鳥は一見、よく知られているブルースター種に見えたそうですが、その鳴き声はワキチャアメリカムシクイのようだったといいます。バーケット氏は半信半疑でこの新種を専門家に知らせました。
送られてきた写真や映像を見たコーネル大学鳥類学研究所のデヴィッド・トウズ氏は驚き、すぐにバーケット宅に詳しい話を聞きに行ったといいます。その後ハイブリッド鳥を捕獲、血液サンプルを採取しDNA分析を行いました。
するとその新種は、母親がブルースターアメリカムシクイで、父親がワキチャアメリカムシクイであることが判明。しかし母親のブルースター種も、アオバネアメリカムシクイとキンバネアメリカムシクイのハイブリッドであり、こちらの異種交配は以前から一般的によく知られていたとのこと。しかし、ブルースター種が他の種類と交配した事例は今回が初めてです。
つまり、今回発見された新種はアオバネアメリカムシクイとキンバネアメリカムシクイ、そしてワキチャアメリカムシクイの「三種」が入り混じったハイブリッド鳥だったのです。トウズ氏はこのような異種交配が起こった経緯について、ブルースター種の数が近年激減していることを指摘。オスのブルースターの相手が見つからないメスが、子孫を残すために他の種のアメリカムシクイをパートナーに選んだのではないかと推察されます。
種の数が減っているという好ましくない状況の中で、「メスは最善の道を選択した」とトウズ氏は言います。またこの異種交配の事実は、アメリカムシクイが交配により見た目を大幅に変えた後でも、遺伝的には共存可能だということを示している良い実例となりました。
このようなハイブリッド種は、うまくパートナーを見つけられずのけ者にされるのか、それともパートナーを見つけて子孫を繁栄させることができるのでしょうか。専門家は、今後もこの貴重なハイブリッド種に注目してたいと話しています。
選ぶ相手の少ない中でしっかりパートナーを見つけるムシクイ鳥。私たちも好みのタイプがいないなどと文句を言わず、ムシクイ鳥を見習いたいものです。