・古代エジプトのネクロポリス「サッカラ」にあるウセルカフ王のピラミッド群で、猫、コブラ、ワニ、カナブンなどのミイラが発見
・別名「スカラベ」とも呼ばれるカナブンは「太陽神の遣い」などを象徴し、猫はエジプト神話の猫の女神「バステト」への捧げ物と推測
・あわせて見つかった、まだ開かれたことのない扉は、数週間以内に開かれる予定
古代エジプトの首都であったメンフィスのネクロポリス「サッカラ」には数多くのピラミッドがあります。この地で、大量の、しかも珍しいタイプのミイラが発見されました。
何がそんなに珍しいかというと、それは猫、コブラ、ワニ、それにカナブンなどのミイラという点です。エジプト考古省によると、これらが発見されたのは、エジプト第5王朝(紀元前2,500〜2,350年頃)の創始者であるウセルカフ王のピラミッド群の外れにおいてのことだったとのこと。7つの石棺に納められたこれらのミイラは、6,000年以上前のものと推測されています。
とりわけ、カナブンのミイラはかなり貴重で、メンフィスのネクロポリスで発見されたのははじめてのことです。エジプトでは古くから、カナブンを「スカラベ」と呼んで、「太陽神の遣い」や「再生と復活」の象徴として崇拝してきました。
石灰岩でできた長方形の棺には、2体の巨大なカナブンのミイラが入っており、それを閉じるアーチ状の蓋には黒い塗料でカナブンが描かれていました。2体は麻の布で包まれており、保存状態は極めて良好でした。
2体以外に見つかったカナブンのミイラは、同じく黒い塗料でカナブンが描かれた、さらに小さいサイズの石灰岩製の棺に納められていました。施されていたカナブンのペイントは、現代人が描いたと言われても普通に信じてしまうほどになんとも素朴なタッチで、古代エジプトの人々に勝手に親近感を抱いてしまいそうなものです。
あわせて見つかった大量の猫のミイラには、100体の木で作られ金メッキが施された猫の彫像と、1体の銅製の猫の彫像が添えられていました。これらは、エジプト神話に登場する猫の女神「バステト」に捧げたものだと推測されています。かつて、太陽の化身でもあったバステトは、かつて猫と結びつけられ、あらゆるネコ科の動物はバステトの魂が具現化されたものだと考えられていました。
また、コブラやワニのミイラは、彩色が施された木製の棺の中に納められていました。
あわせて、彩釉陶器で作られた魔除け用の装飾品も1,000個ほど見つかりました。これらは、アヌビス、ホルス、イシスといったエジプト神話の神々に捧げられたもので、古代エジプトのシンボルにもなっているホルスの目の形をした装飾品も含まれていました。動物の彫像には、猫をかたどったものだけではなく、ライオンや牛、ハヤブサを模したものもありました。
第5王朝の墓での発掘作業中には、まだ開かれたことのない扉も発見されています。扉が無傷の状態の見つかることは大変珍しく、中の物がまだ人に触られていない可能性が極めて高いとのこと。発掘チームは、数週間以内にこの扉を開けたいと考えています。
扉の奥には、さらに不思議な発見が待っているかもしれませんね。考古学者たちによる今後の発掘作業の結果が楽しみです。
via: ancient-origins, phys.org / translated & text by まりえってぃ