印刷技術から生命の起源まで…幅広い展開が予想
しかし、今回わかったコーヒーリング抑制のメカニズムは従来のものとは違い、簡単・安価・無害に印刷技術を向上できると考えられます。また無害なインクに無害な添加物を加えることで「コーヒーリング現象」を抑制できると考えられるため、フードプリンターや医療用プリンターへの応用も期待されています。
さらに、フードプリンターの解像度が上がればバースデーケーキの上に子どもの写真がプリントできたり、医療用プリンターが高性能になればお母さんのお腹のエコー写真でかわいい赤ちゃんの顔が見られるようになったりするかもしれません。窓ガラスにつく雨跡や、鏡についた水滴もコーヒーリング現象が原因なので、窓ガラスや鏡の掃除が楽になるということも考えられます。
応用はこれだけではありません。実は生命の起源にも、「コーヒーリング現象」が関わっている可能性があります。生命の起源については、体を作る有機物が集まり、「液滴」になってから生命を得たという説が有力です。この時、生物の構成成分の濃縮と乾燥が必要であり、ここに「コーヒーリング現象」が関与する可能性があるのです。
「コーヒーリング現象」のメカニズムのように「液滴」の乾燥過程が明らかになれば、生命の起源に近づくことも考えられます。コーヒーから生命の起源まで…ものすごい振り幅ですが、意外と何でもないアイテムに深淵なる法則が隠れているのかもしれませんね。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/26708
referenced: jamstec, nature / written by かどや / edited by Nazology staff