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砂糖すごい。コーヒーのリング状のシミを「砂糖」が防ぐという研究

2018.12.25 Tuesday

Point
■コーヒーなどをこぼしたときに縁取りされたシミができる「コーヒーリング現象」を抑制する方法が明らかになった
■「コーヒーリング現象」の抑制は高解像度のインクジェットプリンターや無害なフードプリンターの開発につながる可能性
■研究が進めば生命誕生の過程のひとつである液体の濃縮過程も明らかとなる可能性

白シャツにコーヒーをこぼし、しっかりと「縁取り」されてしまったシミにがっかりしたことはありませんか?

このコーヒーリング現象」の縁取りをなくす方法が明らかになりました。この研究結果は海洋研究開発機構の下林研究員らにより、12月11日に雑誌「Scientific Reports」に発表されています。

Suppression of the coffee-ring effect by sugar-assisted depinning of contact line
https://www.nature.com/articles/s41598-018-35998-w

砂糖が「中心から外側へ向かう水の流れ」を抑制

コーヒーをこぼすとその滴の外側から蒸発していくため、下図のように中心から外側へ向かう水の流れができます。これによってコーヒー粒子が外側に集まり、乾燥したときにコーヒーリングができるのです。

Credit: Scientific Reports

この「コーヒーリング現象」について、コーヒーに砂糖を加えると縁取りがなくなり均一なシミになることがわかりました。

Credit: Scientific Reports

「コーヒーリング現象」による縁取りは、インクジェットプリンターで印刷されたインクが乾燥するときなどにもみられ、プリンターの解像度が下がる原因にもなっています。

そこで砂糖によるコーヒーリング抑制のメカニズムを明らかにするため、高性能な顕微鏡でコーヒーが乾燥する様子を観察しました。その結果、コーヒーの滴の縁で糖が析出していることが判明。そして、乾燥していく滴の内部の流れを画像解析したところ、析出した糖により外縁への流れが抑制されていることがわかりました。つまり、この流れの抑制が「コーヒーリング現象」を抑制しているものの正体だったのです。

これまでもコーヒーリング抑制のメカニズムは研究されており、印刷インクに界面活性剤を加えるなどの工夫が考えられてきました。界面活性剤は洗剤などに使われており、液体の表面張力を変えることで滴内の流れを乱すことができます。

次ページ印刷技術から生命の起源まで…幅広い展開が予想

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