
■絶滅危惧指定を受けていた“Sehuencas water frog”のオス「ロミオ」に念願のメスのパートナーが見つかる
■近年、同種は環境汚染や「カエルツボカビ症」の流行により、個体数が激減していたため探索作業は急を要していた
■同種の平均寿命は15年で、2008年に保護された「ロミオ」にとっては奇跡に近い出来事となった
世界でもっとも孤独なカエルとして知られていた“Sehuencas water frog”種のオス「ロミオ」。この度、同種の唯一の生き残りと思われていた「ロミオ」くんに、念願のパートナーが見つかったのです。
発見されたメスの名は、もちろん「ジュリエット」と命名。「ジュリエット」を見つけたボリビア自然博物館の両生類学者テレサ・バダーニ氏の詳細な報告は、1月15日付けで「Global Wildlife Conservation」に掲載されています。
https://www.globalwildlife.org/2019/01/15/romeo-oh-romeo/
Sehuencas water frog種は、ボリビアに固有のカエルで、初めて観察されたのは1998年です。その時点ですでに個体数は少なかったようですが、近年の環境問題による生息地の汚染によって、ますます数が減少が加速している状態でした。2004年には絶滅危惧種指定も受けています。
そして「ロミオ」が発見されたのは2008年のことで、それ以来ボリビア自然博物館にて特別保護の対象となっています。専門家たちは「ロミオ」のために、ここ10年の間、パートナー探しに奮闘したのですが、メスはおろか同種のカエルさえ見つからない状態が続いていました。
また、Sehuencas water frogの平均寿命は15年であるため、探索作業は緊急を要します。さらに、「カエルツボカビ症」と呼ばれる感染症の流行により、世界中で野生のカエルの生存数が激減しており、事態はますます切迫したものとなっていました。この感染症は「カエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)」という病原体が原因で、致死率は100%。一度感染すると、カエルの体表面で繁殖し、皮膚呼吸ができなくなり死に至ります。
しかし、今回、バダーニ氏の率いる探索チームによりボリビアの熱帯雨林にて、ついにメスのSehuencas water frogが発見されました。
それは長時間の探索もむなしく、諦めかけた時でした。突然、「そばにあった池に1匹のカエルが飛び込んだ」とのこと。
バダーニ氏が慌てて池に入り、飛び込んだカエルを掴んでみると、それは特徴的なオレンジ色のお腹をしたSehuencas water frogだったのです。

こうして発見された「ジュリエット」は、現在「ロミオ」との顔合わせ前に「カエルツボカビ症」に感染していないか入念に検疫中とのこと。
バダーニ氏は「ジュリエット」について、「今のところ異常はなく、エネルギッシュで食欲旺盛である」と報告。一方の「ロミオ」は「シャイで大人しく、とてもマイペースな性格」だそうです。今後「ロミオ」が尻にしかれる様子が目に浮かびます。
喜ばしいことに、「ジュリエット」の他にも4匹のSehuencas water frogが立て続けに発見されており、そのうち3匹はオス、1匹はメスで、うまく繁殖させられれば絶滅の危機を脱することが可能となります。
昨年の10月から、「ロミオ」はTwitterで恋人探し急募のためのアカウントを設立していました(アカウントは「@romeothefrog」)。そして、15日火曜日に「ロミオ」は「ついに僕の運命の人が見つかった!」とつぶやき、喜びを爆発させています。思わずほっこり…。
MY JULIET IS FOUND!!! After a decade of being the world’s loneliest frog, I am lonely no longer! Thank you @Global_Wildlife and @MuseodOrbigny for finding my long-lost love. What a great day! #Match4Romeo #ConservationOptimism #Love #SehuencasWaterFrog #JulietFound #HappyDance https://t.co/2SC2X48IDQ
— Romeo the World's Loneliest Frog (no longer!) (@romeothefrog) January 15, 2019
「ロミオ」が生きている内に「ジュリエット」にめぐり合えたのは、奇跡に近いですね。まさに、シェイクスピアも驚きの恋愛劇となりました。