■18世紀のイギリスでは、貴族たちが「庭園隠者」と呼ばれる人を雇って地所に住まわせることが流行
■「庭園隠者」は、来客があれば、相談に乗ったり、食事を提供したりしてもてなした
■住み込みの見返りに給料も貰っており、仕事内容には「ジオラマ」のようにポージングをとって動かないというものもあった
イギリス貴族、楽しみ方のクセがすごい。
公園や家の庭先に、小さな小人の像が置いてあるのを見かけたことがあるでしょう。18世紀のイギリス貴族の間では、これと同じことをホンモノの人を使って再現することが流行していたのです。
「引きこもり」のプロフェッショナル
当時イギリスの富裕層は、自分の土地に田舎風の岩屋や小さな塔を建てて、その中に雇った人を住まわせていました。こうした雇われ人を「庭園隠者」と呼びます。
「庭園隠者」は引退した僧侶や農場労働者が選ばれることが多く、その大半がドルイド僧のような格好をさせられていました。ドルイド僧とはケルト社会における祭司のことで、宗教や政治についてのアドバイザーとしての役割を果たした人物たちです。
「庭園隠者」たちも、来客があれば、悩み相談や助言を任されていました。さらに、自作のポエムを披露したり、ワインで客人をもてなしたりとエンターテインメントの要素が強かったのです。
もちろん、隠者は住み込みの俸給として、部屋と食事の他にお給料もしっかりもらっていました。ただ、隠者はまったく体を洗わず、髪も爪も伸び放題になっていたのです。そこはしっかりした「世捨て人」演出だったのでしょう。